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HEALTH WORDS / 用語解説

ポリグリコール酸

Polyglycolic acid

ポリグリコール酸とは、グリコール酸の重縮合または環状二量体であるグリコリドの開環重合によって得られる脂肪族のポリエステルの一種である。1

本物質は強い結晶性を有する熱可塑性高分子であり、一般に高い機械的強度や弾性率を示す一方で、ガラス転移温度や融点が高い特性を持つ。2

化学構造中にエステル結合を含むため、水や体液の存在下で加水分解を受けやすい性質があり、これが医療分野をはじめとする様々な応用において重要な基盤となっている。3

医療分野においては、その優れた生体適合性と生分解性を活かして、体外および体内で自然に分解・吸収される縫合糸や手術用縫合糸の素材として広く利用されてきた。4

生体内に埋め込まれたポリグリコール酸は、酵素的な作用や非酵素的な加水分解によって最終的に代謝され、体外へ安全に排出されるため、長期的な異物反応のリスクが低いという利点がある。5

こうした生体吸収性の特性を応用し、近年では縫合糸だけでなく、組織工学や再生医学における足場材料、すなわち生体組織の再生を支えるスキャフォールドや人工臓器用の生体材料としても研究および実用化が進められている。6

また、医療用途にとどまらず、その高いガスバリア性や優れた機械的特性、環境中での分解性に着目し、食品の包装用フィルムや容器といった環境配慮型のプラスチック材料としての利用も検討されている。7

このように、ポリグリコール酸は基礎的な高分子化学の領域から、最先端の医療技術や環境対応型の材料科学に至るまで、幅広い学術分野および産業分野で重要な役割を担う機能性高分子である。8

参考文献・出典

  1. NITE化学物質総合情報提供システム: https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/sanjyoDetail?CN=33-0240 ↩
  2. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/35/10/35_10_964/_article/-char/ja/ ↩
  3. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/tvt/52/3/52_3_135/_article/-char/ja/ ↩
  4. 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearchDetail/OrdinarySmr_16000BZZ00681000 ↩
  5. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawasi/33/2/33_2_142/_article/-char/ja/ ↩
  6. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/45/3/45_3_188/_article/-char/ja/ ↩
  7. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi/56/12/56_12_944/_article/-char/ja/ ↩
  8. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi/62/11/62_630/_article/-char/ja/ ↩