HEALTH WORDS / 用語解説
異物反応
Foreign Body Reaction
異物反応とは、生体内に入ってきた生体材料や医療器具などの生体不適合な異物に対し、生体が引き起こす一連の免疫学的および炎症性の組織応答である。1
生体内に医療機器や人工臓器などの生体材料が留置されると、血液成分の吸着が瞬時に起こり、タンパク質の吸着層が形成される。2 これにより血小板の活性化や凝固系、補体系が誘発され、初期の急性炎症反応が引き起こされる。2
初期の炎症局面では、血液中の好中球が走化因子に引き寄せられて血管外へ遊走し、異物の表面に集積する。3 好中球は短命であるため数日以内にアポトーシスを起こし、その後を継ぐ形で単球が組織内へと浸潤する。2
組織内に浸潤した単球はマクロファージへと分化成熟し、異物の貪食や排除を試みる。3 しかし、医療機器などの生体材料はマクロファージ単体では分解・排除できないほどサイズが大きいため、マクロファージ同士が融合する現象が起きる。2
この融合によって多核の巨細胞である異物巨細胞が形成され、これが異物表面に長期間にわたって定着するのが異物反応の大きな特徴である。1 異物巨細胞や活性化されたマクロファージからは、様々なサイトカインやケモカイン、活性酸素種などが分泌され、局所における慢性炎症状態が維持される。2
慢性炎症の持続に伴い、線維芽細胞が異物の周囲へと遊走および増殖し、コラーゲンなどの細胞外マトリックスを産生する。3 最終的な組織修復の過程として、異物の周囲は厚い線維性結合組織の層によって被包化され、生体の他の部分から物理的に隔離されることになり、これを被包化現象と呼ぶ。1
この一連の異物反応は、生体材料の機能不全や医療機器の埋め込み合併症を引き起こす主要な原因の一つとなっているため、生体適合性に優れた新素材の開発や、表面処理技術の研究が現在も盛んに行われている。2
参考文献・出典
- 厚生労働省 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/files/000153859.pdf ↩1 ↩2 ↩3
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmb/24/4/24_179/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 国立国会図書館インターネット資料収集事業: https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293310/www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196236.html ↩1 ↩2 ↩3