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HEALTH WORDS / 用語解説

中枢神系

Central nervous system

中枢神系とは、一般に中枢神経系の誤記あるいは略記として用いられる言葉であり、生物の神経系のうち脳および脊髄を中心とした中枢部分を指す概念である。厚生労働省の用語解説等において、神経系は脳や脊髄からなる中枢神経系と、そこから身体各部へ広がる末梢神経系に大別されることが示されている1。生物学および医学の領域において、中枢神経系は感覚器官からの情報を統合し、身体の運動や生理機能を統御する極めて重要な器官系として位置づけられている2。

ヒトをはじめとする脊椎動物における中枢神経系は、発生学的に外胚葉由来の神経管から形成される。胚の時期に形成された神経管の前方部分が脳へと分化し、後方部分が脊髄へと発達する。脳は大脳、小脳、間脳、中脳、橋、延髄などの各部位に細分化され、それぞれが高度な認知機能、情動の調節、自律神経系の制御、運動機能の調整などを分担している。一方、脊髄は脳と末梢神経をつなぐ伝導路としての役割を果たすとともに、脊髄反射と呼ばれる身体の迅速な防御反応の中枢としても機能している。

中枢神経系の組織は、神経細胞であるニューロンと、それを支持・保護するグリア細胞(膠細胞)によって構成されている。ニューロンは電気信号および化学物質である神経伝達物質を介して情報の伝達を行っており、無数のシナプスを形成して複雑な神経回路網を築き上げている。この回路網の働きにより、学習、記憶、言語、思考といった高次脳機能が発現する。また、中枢神経系は非常にデリケートな組織であるため、硬い頭蓋骨や脊椎の骨格によって物理的に保護されているだけでなく、脳脊髄液に満たされ、さらに血液脳関門という厳格な生体防御機構によって血液中の有害物質から守られている。

臨床医学や脳科学の分野では、中枢神経系にかかわる様々な疾患や障害が研究・治療の対象となっている。脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)、精神疾患(統合失調症やうつ病など)、さらには感染症や外傷性脳損傷などが挙げられる。これらの病態においては、神経細胞の変性や死滅、あるいは神経伝達物質のバランスの異常が生じることが知られており、薬物療法やリハビリテーションなど、多角的なアプローチによる治療および研究が進められている。

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-067.html ↩
  2. 文部科学省 学術用語集 分科会: https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19721011001/t19721011001.html ↩