HEALTH WORDS / 用語解説
人参湯
Nin-jin-to
人参湯とは、東洋医学における古典である『傷寒論』および『金匱要略』に収載されている漢方薬(方剤)の一つであり、主に胃腸虚弱で手足などが冷えやすい状態に対して用いられる補剤である。1
構成生薬としては、人参、白朮または蒼朮、干姜、甘草の4種類が含まれており、これらはすべて温性の性質を持つか補気作用を持つ生薬で構成されている。1
日本薬局方等の基準に基づき品質が管理された医療用医薬品としても広く臨床現場で応用されており、厚生労働省が承認する効能または効果としては、胃腸虚弱で冷え症、貧血性、病後などで疲労しやすいものの、胃痛、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振などが挙げられる。1
東洋医学的な病態生理においては、脾胃虚寒、すなわち消化器系(脾・胃)の気血が不足し、温める力が低下することによって生じる冷えや水様下痢、腹痛などの諸症状に対して、温中散寒および健脾益気の作用を発揮するものとして位置づけられている。2
現代の医学研究や臨床試験においても、消化器機能の改善や免疫修飾作用、代謝への影響などに関する基礎研究および臨床的観察が続けられており、漢方医学的アプローチに基づくエビデンスの構築が進められている。3
本剤の投与にあたっては、患者の証(体質や症状の傾向)を見極めることが重要であり、実証傾向にある患者や熱証が強い場合には慎重な判断が求められるほか、含まれる甘草の長期服用に伴う偽アルドステロン症などの副作用にも注意が必要である。1
参考文献・出典
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 添付文書情報: https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200021D1036_1_02/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 一般社団法人日本東洋医学会 学術用語解説: https://www.jsom.or.jp/medical/ebm/glossary/index.html ↩
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I023880536-00 ↩