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HEALTH WORDS / 用語解説

内耳圧

Endolymphatic pressure / Inner ear pressure

内耳圧とは、内耳の内部を満たす内耳液(内リンパおよび外リンパ)が迷路壁に対して及ぼす圧力のことである。1

内耳は硬い側頭骨の骨迷路の中に膜迷路が収められた構造をしており、その内部はカリウムイオンに富む内リンパ液で満たされた内リンパ腔と、ナトリウムイオンに富む外リンパ液で満たされた外リンパ腔とに分かれている。2

これら内耳液の産生と吸収のバランスが保たれることによって、内耳圧は一定の範囲内に生理的に調節されている。3

内耳圧の恒常性維持は、聴覚および平衡覚の正常な受容器電位の発生や感音難聴・眩暈の予防において極めて重要な役割を果たしている。4

特に内リンパ液の異常な貯留によって内耳圧が病的に上昇する病態は内リンパ水腫と呼ばれ、メニエール病の主たる病理学的特徴として広く知られている。5

メニエール病の患者においては、蝸牛や前庭における内耳圧の亢進が有毛細胞や聴神経の受容器に機械的なストレスを与え、耳鳴り、難聴、回転性めまいなどの臨床症状を誘発すると考えられている。6

内耳圧の変動要因としては、頭蓋内圧の変化、血圧や血漿浸透圧の変動、さらにはホルモンによる水分代謝の調節などが挙げられ、脳脊髄液腔と内耳の間における外リンパ液を介した交通経路を通じて頭蓋内圧の影響を強く受けることが知られている。7

基礎医学的な研究や臨床診断の領域においては、内耳圧を直接的または間接的に評価・測定するための様々な手法が模索されてきたが、内耳が側頭骨の深部に位置し解剖学的に極めて侵襲が加わりやすい複雑な構造をしているため、生体における正確な内耳圧の経時的測定には高度な技術と多くの課題が伴う。8

参考文献・出典

  1. 日本生理学雑誌: https://webview.isho.jp/article/detail/10.1143/jjphysiol.53.375 ↩
  2. 解剖学ウェブ: https://www.anatomia.co.jp/zenjyo/naiji.html ↩
  3. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiologyjapan1958/33/5/33_5_425/_article/-char/ja/ ↩
  4. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/35/3/35_3_579/_article/-char/ja/ ↩
  5. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/45/2/45_2_151/_article/-char/ja/ ↩
  6. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiologyjapan1958/37/5/37_5_521/_article/-char/ja/ ↩
  7. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/38/4/38_4_815/_article/-char/ja/ ↩
  8. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/42/1/42_1_45/_article/-char/ja/ ↩