HEALTH WORDS / 用語解説
刺激性
Irritation / Irritability
刺激性とは、一般に生物体の組織や細胞が何らかの物理的、化学的、あるいは生物的な刺激を受けた際に見せる反応性、あるいは皮膚や粘膜などに接触した化学物質が可逆的な炎症を引き起こす性質を指す用語である。1
毒性学や薬理学、衛生化学の分野において、刺激性は化学物質の有害性を評価する重要なエンドポイントの一つとして位置づけられている。労働安全衛生法や化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)などの公的制度や基準においては、皮膚や眼に対する刺激性および腐食性の分類と表示が厳格に定められており、産業現場や日常生活における健康障害を防ぐための基礎データとして活用されている。2
皮膚における刺激性試験としては、ウサギなどの実験動物を用いたDraize法や、近年の動物福祉の観点から開発が進められている人工皮膚モデルを用いた試験法などが知られており、化学物質が接触した部位に生じる紅斑、浮腫、痂皮といった病理学的変化を指標として評価が行われる。3
また、眼に対する刺激性も同様に角膜、虹彩、結膜への損傷や炎症の程度を数値化して評価され、眼粘膜に対する有害性の予測に用いられている。4
一方で、神経生理学や筋生理学などの基礎生物学の文脈における「刺激性」は、神経細胞や筋線維などの興奮性細胞が閾値を超える刺激に対して活動電位を発生させ、興奮を伝える能力や性質を指す場合もあり、広義には生体が環境の変化を受容して応答する基本的な生理機能の一部を包括している。5
参考文献・出典
- 職場のあんぜんサイト:皮膚刺激性・腐食性の分類基準: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/kensaku/hyoka/h_k_kijyun.html ↩
- 経済産業省 GHS分類ガイダンス: https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_guidance.html ↩
- 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター: https://www.nihs.go.jp/DIMS/index.html ↩
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE) 化学物質総合情報提供システム: https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/sanjyoSearch ↩
- 生理学テキスト: https://www.nips.ac.jp/ ↩