HEALTH WORDS / 用語解説
意識レベル
Level of consciousness
意識レベルとは、覚醒している状態の程度、すなわち外界および内界の状況を認識できている覚醒の度合いを示す指標である。1 意識障害の評価や患者の全身状態を把握する上で極めて重要な臨床医学的指標の一つであり、救急医療から精神医学、脳神経外科に至るまで広く用いられている。2
医学的な定義において、意識は「覚醒(Arousal)」と「認識(Awareness / 意識内容)」という2つの主要な構成要素に大別される。1 覚醒とは睡眠・覚醒サイクルや脳幹の網様体系に依存する覚醒水準を指し、認識とは大脳皮質の機能に基づき、自己や環境を正確に認知し意味づける能力を指す。2 意識レベルの低下や異常は、これらの中枢神経系の構造的あるいは機能的な障害を示唆する重要な臨床徴候である。1
日本国内の臨床現場および救急医療においては、意識障害の評価スケールとして長年にわたり3桁方式(Japan Coma Scale: JCS)が広く用いられてきた。2 3桁方式(JCS)は、意識障害の状態を覚醒している状態を「0」、刺激をしないでも覚醒している状態を「1桁」、刺激によって覚醒する状態を「2桁」、刺激しても覚醒しない状態を「3桁」の大きく4段階(0、I、II、III)に分類し、それぞれの段階をさらに細分化して1〜3の数字を付すことで、簡便かつ迅速に意識レベルを評価できるのが特徴である。1
また、国際的な臨床研究や集中治療室(ICU)、外傷学などの分野では、グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale: GCS)が世界標準として頻用されている。2 グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は、開眼機能(Eye opening)、言語機能(Verbal response)、運動機能(Motor response)の3つの神経学的所見項目を評価し、それぞれの反応の良さに応じて点数を与え、その合計点(最高15点、最低3点)によって意識障害の程度を定量的に表す手法である。2 このスケールは経時的変化を細かく追跡することが可能であるため、重症度分類や予後予測において非常に有用なツールとなっている。1
意識レベルの変動を引き起こす原因は多岐にわたり、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、頭部外傷、脳腫瘍といった原発性脳疾患のほか、低血糖、肝性脳症、尿毒症などの代謝性疾患、薬物中毒、酸素欠乏症、ショックといった全身性疾患や二次的脳損傷が挙げられる。1 したがって、意識レベルの評価や変化の観察は、単に脳の局所診断にとどまらず、生命維持活動に関わる全身状態の悪化を早期に発見するためのバイタルサインの一つとしても極めて重要な意味を持っている。2