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HEALTH WORDS / 用語解説

抗菌物質

Antimicrobial substance

抗菌物質とは、細菌などの微生物の発育や増殖を阻害、あるいは死滅させる物質の総称である1。 ウイルス以外の幅広い病原微生物に対して作用を示すものが含まれ、感染症の治療や予防において極めて重要な役割を担っている2。

歴史的に見ると、抗菌物質の発見は人類の医学における最大の功績の一つとされている。 特にペニシリンに代表される抗生物質の発見と実用化は、かつては不治の病と恐れられていた重篤な細菌感染症の予後を劇的に改善させた1。 今日では、天然の微生物が産生するものだけでなく、化学的に合成された合成抗菌薬なども広く抗菌物質として定義され、医療現場のみならず農業や畜産業など多岐にわたる分野で利用されている3。

抗菌物質は、その作用機序や対象とする微生物の範囲によっていくつかのグループに分類される。 例えば、細菌の細胞壁の合成を阻害するもの、タンパク質の合成を妨げるもの、DNAの複製を阻害するものなどが知られている2。 それぞれの物質によって効き目のある菌の種類が異なるため、原因菌を特定した上で適切な薬剤を選択することが治療上極めて重要である4。

しかしながら、抗菌物質の過剰な使用や不適切な投与は、現代の医療において深刻な社会問題を引き起こしている。 抗菌物質に対して耐性を獲得した耐性菌、いわゆる薬剤耐性(AMR)を持つ菌の出現である4。 耐性菌に対しては、従来有効であった抗菌物質が効かなくなるため、感染症の治療が困難となり、症状の悪化や死亡率の上昇につながる危険性がある2。 そのため、世界保健機関(WHO)や各国政府主導のもとで、薬剤耐性の拡大を防ぐための適正使用の推進や、新たな抗菌物質の開発に関する研究が継続的に行われている4。

参考文献・出典

  1. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1011/h1112-1_6.html ↩1 ↩2
  2. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/419-antimicrobial-resistance.html ↩1 ↩2 ↩3
  3. 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/tiku/yakuji/amr.html ↩
  4. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138895.html ↩1 ↩2 ↩3