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HEALTH WORDS / 用語解説

排便異常

Defecation Disorders

排便異常とは、排便の回数、量、性状、あるいは排便時の感覚などが正常な状態から逸脱し、心身に不快感や支障をきたす症状の総称である。日本消化器病学会のガイドラインなどでは、主に便秘と下痢、および排便困難感や残便感といった排便にまつわる諸症状が含まれるものとして定義されている。1

排便回数の異常としては、一般に週に3回未満となる状態が便秘、1日に何度も液状の便が排泄される状態が下痢として捉えられる。排便異常の原因は多岐にわたり、食生活や水分摂取量の偏り、運動不足、ストレスなどの生活習慣に起因するものから、大腸癌、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群などの器質的あるいは機能的な消化器疾患に至るまで様々である。2

排便困難を伴う病態の一つに、骨盤底筋群の協調運動障害や直腸瘤などによる出口閉塞性便秘がある。これは、便が直腸まで到達しているにもかかわらず、スムーズに体外へ排出できない状態を指し、高齢者や経産婦などに多く見られる排便異常の典型例である。排便時痛を伴う場合には、痔核や裂肛などの肛門疾患が背景にあることが少なくない。2

診断にあたっては、詳細な問診によって排便の頻度、便の硬さ、排便時の苦痛の有無などを評価する。ローマ基準などの国際的な診断基準を用いることで、器質的疾患のない機能性消化管障害である便秘症や過敏性腸症候群の鑑別が行われる。必要に応じて、大腸内視鏡検査、注腸X線検査、血液検査などを行い、悪性腫瘍や慢性的な炎症の有無を確認することが重要である。3

治療方針は、排便異常を引き起こしている原因疾患や病態に応じて個別に決定される。生活習慣の改善として、食物繊維や水分の十分な摂取、適度な運動、規則正しい排便習慣の確立が指導される。薬物療法としては、下痢に対しては止瀉薬や整腸剤が用いられ、便秘に対しては緩下剤、上皮機能変容薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬などが処方される。難治性の排便困難に対してはバイオフィードバック療法などの理学療法や、場合によっては外科的治療が検討されることもある。2

参考文献・出典

  1. RAisei: https://www.jges.net/medical/covid-19/raisei ↩
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/02-消化器疾患/便秘と下痢/便秘 ↩1 ↩2 ↩3
  3. 日本消化器病学会ガイドライン: https://www.jges.net/medical/guideline/ibs-guideline ↩