HEALTH WORDS / 用語解説
支持療法
Supportive Care
支持療法とは、がんなどの疾患自体やその治療に伴う身体的症状、精神的苦痛を和らげ、患者のQOL(生活の質)を維持・向上させることを目的に行われる医療行為の総称である。国立がん研究センターによると、支持療法はがん治療の初期段階から緩和ケアと並行して実施され、治療継続性を高める上でも極めて重要な役割を担うとされる。1
悪性腫瘍に対する化学療法や放射線療法などの積極的治療は、しばしば副作用を伴う。これには悪心、嘔吐、骨髄抑制に起因する発熱性好中球減少症、貧血、血小板減少症、さらには粘膜炎や末梢神経障害などが含まれる。支持療法は、こうした有害事象を予防または軽減するための薬物療法や非薬物療法を包括する概念であり、厚生労働省のがん対策推進基本計画においても、診断時からの支持療法の充実が重要な課題として位置づけられている。2
臨床現場における支持療法の具体例としては、制吐薬を用いた化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)の予防、G-CSF製剤による好中球減少症の管理、疼痛に対するオピオイドなどの鎮痛薬を用いた疼痛管理が挙げられる。また、栄養管理やリハビリテーション、精神心理的支援も支持療法の重要な構成要素である。これにより、患者が耐用能を維持し、予定された抗腫瘍治療を完遂することが可能となる。
近年のがん薬物療法の進歩に伴い、新たな分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が登場しているが、これらに特有の免疫関連有害事象(irAE)に対する支持療法の確立も急務となっている。日本癌治療学会などの学術団体では、各種ガイドラインを策定し、医療従事者間での標準的な支持療法の普及に努めている。支持療法は単なる対症療法にとどまらず、原疾患の予後改善や生存期間の延長にも寄与し得る現代医療の不可欠な柱である。
参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/supportive_care/index.html ↩
- 厚生労働省 第四期がん対策推進基本計画: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gantaisaku_00002.html ↩