ホーム植込型除細動器

HEALTH WORDS / 用語解説

植込型除細動器

Implantable Cardioverter-Defibrillator

植込型除細動器とは、心室細動や持続性心室頻拍といった致死的な不整脈を自動的に検出し、電気ショックや抗頻拍ペーシングを行って正常な心拍リズムへと回復させるための医療機器である。1

一般的に心臓血管外科や循環器内科などの専門医によって鎖骨の下などの皮下に植込み手術が行われ、本体から伸びるリードと呼ばれる導線を静脈を介して心臓の内部に留置することで、心電図のモニタリングと治療のための電気刺激の送達を行う。2

主な適応となる病態には、心筋梗塞の既往や肥大型心筋症、拡張型心筋症などの器質的心疾患に伴う致死性不整脈の既往や、その強い発症リスクを有する心不全患者が含まれる。3

装置の基本的な機能としては、心室細動などの心室頻拍を感知した際に即座に高エネルギーの電気ショックを負荷して除細動を行う機能のほか、それよりも比較的低エネルギーの電気刺激によって心臓を刺激し頻拍を停止させる抗頻拍ペーシング機能、さらには通常の徐脈性不整脈に対するペースメーカー機能が統合されている。4

近年では遠隔モニタリングシステムが広く普及しており、患者が自宅にいながらにして植込型除細動器の作動状況や不整脈の記録、さらには電池残量やリードのインピーダンスといったデバイスの異常データを医療機関へ自動送信することが可能となっている。5

これにより、医師は定期受診の間隔を空けた場合でも患者の病状変化を早期に察知することができ、不適切ショックの回避や心不全の増悪による入院リスクの低減など、予後の改善や安全性の向上に大きく寄与している。6

一方で、植込型除細動器の植込みを受けた患者においては、機器の作動に伴う身体的苦痛や心理的不安、うつ状態などが生じる場合があるため、デバイスの管理だけでなくメンタルヘルスを含めた包括的な患者管理が極めて重要視されている。7

参考文献・出典

  1. 厚生労働省:医療機器の保険適用について: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/00078810.pdf ↩
  2. PMDA:植込型除細動器に関する注意喚起について: https://www.pmda.go.jp/files/000153833.pdf ↩
  3. 日本循環器学会:不整脈非薬物治療ガイドライン: https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2011_fukaya_h.pdf ↩
  4. 厚生労働省:我が国の医療機器の現状について: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000996846.pdf ↩
  5. PMDA:医療機器安全性情報: https://www.pmda.go.jp/files/000215758.pdf ↩
  6. 日本循環器学会:循環器疾患における遠隔モニタリング活用に関するステートメント: https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_toda.pdf ↩
  7. 厚生労働省:患者の療養生活支援に関する指針: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Ganmuka/0000057396.pdf ↩