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HEALTH WORDS / 用語解説

生態的地位

ecological niche

生態的地位(生態的地位|ニッチ)とは、生態系の中において各生物種が占める位置や役割のことを指し、種が利用する環境資源の総体および生物間の種間関係を包括した概念である。1

生態的地位の概念は、生物が生存および繁殖のためにどのような環境条件を必要とし、周囲の生態系にどのような影響を及ぼすかを理解するための基礎となる。

歴史的には、ジョーゼフ・グリンネルによる空間的な分布や生息地を中心とした定義や、チャールズ・エルトンによる生物の「食う-食われるの関係」における機能や地位に着目した定義が提唱されてきた。1

その後、G・インヴリン・ハッチンソンによって、生物が生存可能な温度や湿度、餌の大きさなどの多次元的な環境変数を軸とした「超体積(ハイパーボリューム)」として生態的地位を定量的に捉える理論が確立された。1

ハッチンソンの定義では、生物が生理的制約のみに基づいて利用可能な空間を基礎生態的地位と呼び、競争や捕食といった種間関係によって実際に占められている空間を現実生態的地位と区別して考える。1

自然界において、生物種が進化の過程で特定の生態的地位に適応していくことで、形態や生理機能の多様化が進む。2

もし2つの生物種がまったく同じ生態的地位を要求し、その環境資源が有限である場合、ガウゼの競争排除則に従い、より効率的に資源を利用できる種がもう一方の種を駆逐することが知られている。1

これを回避するため、共存する生物の間では資源分割が生じ、活動時間を変えたり、利用する餌のサイズを変えたり、異なるマイクロハビタット(微小生息環境)を利用するように進化的な分化が見られることが多い。1

このように生態的地位の概念は、生物多様性の維持メカニズムや、群集生態学における種の共存、さらには外来種が侵入した際の影響評価を検討する上でも極めて重要な理論的枠組みとなっている。2

参考文献・出典

  1. 生態学用語辞典: https://ibot.pref.ibaraki.lg.jp/botanical/glossary/glossary.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 生物多様性センター: https://www.biodic.go.jp/reports/2-04/ch2_1.html ↩1 ↩2