HEALTH WORDS / 用語解説
皮膚線維芽細胞
Dermal fibroblast
皮膚線維芽細胞とは、皮膚の真皮層に最も多く存在する間葉系細胞であり、細胞外基質を産生・維持することによって皮膚の構造的な恒常性を維持する主要な細胞である。1
皮膚線維芽細胞は、真皮の細胞外基質を構成する主要な成分であるコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどのタンパク質を合成・分泌する役割を担っている。2 これらの分子は皮膚に張力、弾力性、柔軟性を与えるため、皮膚線維芽細胞は生体の物理的な構造を支える基盤として極めて重要な機能を果たしている。2
皮膚が創傷や外傷を受けた際、皮膚線維芽細胞は損傷部位へと遊走・増殖し、大量のコラーゲンを産生することで組織の修復および治癒を主導する。2 この創傷治癒の過程において、一部の線維芽細胞は筋線維芽細胞へと分化し、収縮力を発揮して傷口を閉鎖させる働きを持つ。2
加齢や紫外線照射などの環境因子にともない、皮膚線維芽細胞の機能は低下することが知られている。1 老化や紫外線によってマトリックスメタロプロテアーゼなどの酵素が活性化すると、真皮内のコラーゲンやエラスチンが分解され、結果として皮膚の弾力低下やシワの形成といった皮膚老化の現象が引き起こされる。1
近年では、再生医療や美容皮膚科の領域において、患者自身の皮膚線維芽細胞を培養して移植する細胞治療や、皮膚線維芽細胞が分泌する生理活性物質を利用した研究が進められている。2 これにより、難治性潰瘍や皮膚欠損に対する新しい治療法の確立、および皮膚の老化抑制に関する応用研究が期待されている。2