HEALTH WORDS / 用語解説
腸リンパ本幹
腸リンパ本幹とは、小腸や大腸などの消化管から吸収された脂肪成分やリンパ液を集め、乳糜槽へ注ぐ主要なリンパ管の太い幹のことである。1
人体の消化器系において、小腸の粘膜固有層には中心乳糜管と呼ばれる毛細リンパ管が発達している。2
食事によって摂取された脂質は、小腸の上皮細胞内でトリグリセリドなどに再合成された後、アポリポ蛋白などと結合してカイロミクロンという粒子を形成する。3
このカイロミクロンは分子量が非常に大きいため、血管壁の隙間を通過することができず、より透過性の高い中心乳糜管へと取り込まれる。2
中心乳糜管に取り込まれた脂質を豊富に含むリンパ液は、脂肪を含んで乳白色の外観を呈するため乳糜とも呼ばれる。1
中心乳糜管から集まったリンパ液は、腸の間膜内を走行するより太いリンパ管網を経由して、最終的に数本の主要なリンパ管の幹へと合流する。2
その過程を経て形成されるのが腸リンパ本幹であり、腹腔内の後腹膜領域、特に腹部大動脈や下大静脈の周辺を走行している。1
解剖学的な位置関係において、腸リンパ本幹は通常、腰リンパ本幹など他の主要なリンパ本幹とともに、第1腰椎あるいは第2腰椎の前面付近に位置する乳糜槽へ注ぎ込む。1
乳糜槽に集められたリンパ液は、そこから上方へ向かう胸管へと送り出される。1
胸管を通過したリンパ液は、最終的に左の内頸静脈と左の鎖骨下静脈が合流する静脈角付近において、血液循環系へと合流することになる。1
このように、腸リンパ本幹は食事由来の脂質および脂溶性ビタミンなどを全身の血液循環へ運ぶための極めて重要な輸送経路の一部を担っている。3
参考文献・出典
- 解剖学用語検索: https://www.anatomy.med.keio.ac.jp/db/jAnat/jTerm.php?mode=kaibaku&id=2930 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 慶應医学: https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00069296-09200003-0177 ↩1 ↩2 ↩3
- e-ヘルスネット(厚生労働省): https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-045.html ↩1 ↩2