ホーム菌数

HEALTH WORDS / 用語解説

菌数

Bacterial count

菌数とは、一定の容積または重量あたりに存在する細菌の数量を指す用語である。1

食品衛生学や臨床医学、環境微生物学などの幅広い分野において、細菌汚染の程度や感染症の病態を評価するための基本的な指標として用いられる。2

食品の安全性を評価する際、菌数の測定は極めて重要である。生鮮食品や加工食品における総菌数や大腸菌群などの特定菌種の数を調べることにより、その食品の鮮度、衛生状態、および製造工程における汚染の有無を判断することができる。食品衛生法に基づく規格基準においては、特定の食品群ごとに許容される菌数の上限が定められており、これを超える場合には廃棄や回収などの措置が講じられる。2

臨床医学の領域では、患者由来の検体(血液、尿、髄液、喀痰など)に含まれる菌数を定量することが、感染症の診断および治療方針の決定において不可欠となる。例えば、尿路感染症の診断においては、尿1ミリリットルあたりの菌数が一定の基準値(有意菌数)を超えるかどうかが、起因菌による感染の成立を判断する根拠となる。また、敗血症が疑われる場合には、血液培養によって血液中の菌の存在やその数量を把握することが求められる。抗菌薬の投与効果を判定する上でも、経時的な菌数の変化を追跡することは有効な手段となる。3

菌数を測定するための検査手法には、主に平板培養法(寒天培地法)と顕微鏡を用いた直接鏡検法、および遺伝子解析手法などがある。平板培養法は、試料を希釈して適切な培地に接種し、形成されたコロニー(集落)の数を数えることで生きた細菌(生菌)の数を算出する方法である。この方法は「生菌数」を測定する標準的な手法として広く普及している。一方、染色法やPCR法などの遺伝子的アプローチを用いることで、培養が困難な菌種や死菌も含めた総数を迅速に測定することが可能となっている。4

このように、菌数は微生物の動態を数値化し、私たちの健康や環境の安全を維持管理するための極めて重要な指標として活用されている。1

参考文献・出典

  1. e-Stat 統計で見る日本: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000031652433 ↩1 ↩2
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000373030.pdf ↩1 ↩2
  3. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/images/labo-manual/blood-culture.pdf ↩
  4. 国立医薬品食品衛生研究所: https://www.nihs.go.jp/hse/food-test/m-test/manual/m-manual.html ↩