HEALTH WORDS / 用語解説
蛍光眼底造影検査
Fluorescein Angiography
蛍光眼底造影検査とは、フルオレセインやインドシアニングリーンなどの蛍光色素を静脈内に注射し、特殊な眼底カメラを用いて網膜および脈絡膜の血管構造や血流動態を撮影・観察する画像診断検査である。1 2
本検査は主に眼底疾患の診断、病態の評価、および治療方針の決定や治療効果の判定を目的として実施される。3 4
使用される蛍光色素には代表的なものとしてフルオレセインナトリウムがあり、これは青色光に励起されて黄緑色の蛍光を発する性質を持つ。5 6
検査の手順としては、まず散瞳薬を用いて瞳孔を広げた状態で、肘などの静脈から蛍光色素を注射する。7 8
色素が血流に乗って眼底の血管に到達するまでの過程を、連続的あるいは経時的に眼底カメラで撮影することで、血管の閉塞、新生血管の有無、網膜浮腫、色素の漏出や蓄積などの詳細な情報を得ることができる。9 10
代表的な適応疾患としては、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、中心性漿液性脈絡網膜症などの眼底疾患が挙げられる。1 4
糖尿病網膜症の評価においては、毛細血管の異常や無血管野の範囲、微小血管瘤の検出に極めて重要な役割を果たし、光凝固療法などのレーザー治療の適応判断に活用される。6 5
また、加齢黄斑変性においては、脈絡膜新生血管の位置やその活動性を評価するためにインドシアニングリーン蛍光造影検査(ICGA)が併用されることもある。1 6
安全性の面において、蛍光色素の投与に伴う副作用に留意する必要がある。11 12
軽度な副作用としては、一時的な吐き気、嘔吐、眩暈、蕁麻疹などのアレルギー症状が報告されている。11 6
さらに、極めてまれではあるものの、ショックやアナフィラキシーといった重篤な全身反応を引き起こす可能性があるため、検査実施にあたっては緊急時の蘇生体制が整えられた医療機関で行われることが基本となる。11 1
加えて、色素が血管外に漏出した場合には注射部位の強い疼痛や皮膚壊死を生じることがあるため、静脈路の確実な確保が求められる。11 12
検査後には、色素が腎臓を通じて尿中へ排泄されるため、一時的に尿の色が黄色やオレンジ色に変色することがあるが、これは生理的な排泄に伴うものであり通常は数時間から一日程度で自然に消失する。7 8
近年では、眼底の微細構造を非侵襲的に描出できる光干渉断層計(OCT)やOCTアンギオグラフィー(OCTA)の普及が進んでいるが、血流の動態や血管透過性の異常を直接評価する検査法として、蛍光眼底造影検査は現在でも眼科領域において不可欠な検査法の一つとして位置づけられている。1 6
参考文献・出典
- 日本眼科学会: https://www.jsce.or.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 公益財団法人日本眼科学会 眼科情報案内: https://www.jao.or.jp/ ↩
- 日本眼科学会: https://ktq-med.or.jp/section/ophthalmology/ ↩
- 医療情報ネット(ナビイ): https://www.mhlw.go.jp/ ↩1 ↩2
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/ ↩1 ↩2
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- 大阪大学医学部附属病院: https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/ ↩1 ↩2
- 東京大学医学部附属病院: https://www.h.u-tokyo.ac.jp/ ↩1 ↩2
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjoc/-char/ja/ ↩
- 国立保健医療科学院: https://www.niph.go.jp/ ↩
- 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/ ↩1 ↩2