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HEALTH WORDS / 用語解説

血液吸着療法

Hemoperfusion

血液吸着療法とは、患者の血液を体外へ導き出し、専用の吸着カラムを用いて血液中の有害な毒素や病態関連物質を物理化学的に除去した上で、浄化された血液を体内へと戻す体外循環療法の一つである。1

本療法は、1960年代以降に吸着素材や回路技術の進歩とともに発展してきた血液浄化療法の重要な一分野であり、通常の血液透析では除去効率が低い蛋白結合型の毒素や分子量の大きな物質に対しても有効性を示すことがある。1

治療の手技としては、患者の血管からカテーテルなどを介して血液を体外循環回路に誘導し、ポンプを用いて吸着柱(カラム)へと送液する仕組みをとる。1

カラム内部には広大な表面積を持つ多孔質の吸着体が充填されており、活性炭や合成樹脂などの素材が用いられることが多く、対象とする疾患や物質の特性に応じて適切な吸着体が選択される。1

血液がこの吸着体内を通過する際に、標的となる物質が吸着体の表面や細孔に物理的吸着あるいは化学的結合によって捕捉され、効率的に血液中から取り除かれる機序となっている。1

臨床的な適応としては、薬物中毒における各種薬剤や毒物の急速な排除をはじめとして、重症感染症にともなう敗血症やエンドトキシン血症における炎症性サイトカインなどのメディエーターの除去、さらには特定の自己免疫疾患における自己抗体の除去などを目的に応用されてきた。2

特に急性薬物中毒の領域においては、致死的な毒物が体内に拡散して重篤な臓器障害を引き起こす前に、血中濃度を速やかに低下させる手段として重要な役割を担う場合がある。2

また、敗血症治療を目的としたエンドトキシン吸着療法などの特殊な血液吸着モダリティでは、過剰な免疫応答やサイトカインストームを抑制し、血行動態の改善や臓器保護を図るための補助的治療として臨床研究や実際の医療現場で活用されている。2

一方で、血液吸着療法を施行する際には体外循環を行うことに伴う共通のリスクや合併症に留意する必要があり、代表的なものとして回路内や吸着柱内での血液凝固を防ぐための抗凝固薬(ヘパリンなど)の投与に起因する出血傾向の増強が挙げられる。1

さらに、血液が専用の回路や吸着体という異物表面に接触することによる血小板や白血球などの血球成分の減少、補体系の活性化にともなう一過性の生体反応、あるいは体外循環中の血圧低下やショックといった循環動態の変動にも十分な注意が必要となる。1

そのため、実際の治療にあたっては、患者の全身状態や腎機能、肝機能、凝固能などを総合的に評価した上で、適応の可否を慎重に判断し、治療中も厳重なモニタリングを行う体制が求められる。1

参考文献・出典

  1. 医療機器の保険適用について: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000188448.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. 我が国の医療機器・体外診断用医薬品の承認審査等の現状について: https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000551065.pdf ↩1 ↩2 ↩3