HEALTH WORDS / 用語解説
血清学的診断
Serological diagnosis
血清学的診断とは、患者の血液や血清中に含まれる抗体または抗原を抗原抗体反応を利用して検出・測定し、特定の感染症や免疫学的疾患の有無、あるいは病態を把握するための検査手法である。1
生体はウイルスや細菌などの病原体が侵入すると、それに対抗するために免疫系が働き、特異的な抗体を産生する。血清学的診断では、この抗体の有無やその上昇、あるいは病原体由来の抗原そのものを捉えることで、現在感染しているか、あるいは過去に感染した履歴があるかを間接的または直接的に証明することができる。ウイルス学や臨床検査医学において、確定診断や疫学調査の強力な手段として広く用いられている。
この診断法における最大の特徴は、病原体そのものを分離・培養することなく、血清サンプルを用いて迅速かつ安全に検査を行える点にある。病原体の培養には高度な安全管理施設や時間を要する場合が多いが、血清学的手法であれば、血液採取後、比較的短時間で結果を得ることが可能である。また、PCR法などの遺伝子検査では検出が困難となった感染の後期や、過去の感染歴(抗体保有率の調査など)を調べる際にも非常に有用なアプローチとなる。
具体的な検査方法としては、ELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)、凝集反応、補体結合反応、中和試験、イムノクロマト法など、目的に応じて多様な技術が発展・利用されている。例えば、感染症の急性期と回復期の血清を用いて抗体価の変動(ペア血清による有意な上昇)を確認することで、現行の感染であると確実な診断を下すことができる。さらに、梅毒やB型肝炎、C型肝炎などのスクリーニング検査としても不可欠な役割を担っており、輸血の安全確保や母子感染の防止にも大きく貢献している。2