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HEALTH WORDS / 用語解説

血清抗体価

Serum antibody titer

血清抗体価とは、血液中の血清成分に含まれる特定の抗原に対する抗体の量を段階的な希釈によって測定し、その反応が認められる最大の希釈倍数として表した数値のことである。1 感染症の診断やワクチン接種後の免疫獲得の評価、さらには自己免疫疾患などの病態解析において極めて重要な指標として広く用いられている。2

生物体は、ウイルスや細菌などの異物(抗原)が体内に侵入すると、それに対抗するために免疫系が活性化され、特定の抗原と特異的に結合する抗体を産生する。1 血清抗体価の測定では、被検者の血清を段階的に薄めていき、それぞれの希釈液が抗原と反応するかどうかを調べる。1 抗原と反応しなくなる限界の希釈倍数が「価(titer)」として算出され、この値が大きいほど、その抗原に対する抗体を多く保有していることを意味する。1

臨床医学および疫学の領域において、血清抗体価の測定は現在の感染状態だけでなく、過去の感染履歴を調べるためにも実施される。2 例えば、急性期と回復期の2回にわたって血清を採取し、それぞれの抗体価を測定して比較するペア血清検査が行われる。1 回復期において血清抗体価が急性期に比べて有意に上昇(通常は4倍以上の上昇)している場合、その抗原を持つ病原体による最近の感染であると確定または強く推測することができる。2

また、特定の疾患に対するワクチンを接種した際にも、血清抗体価を測定することがある。2 これにより、体内で十分な量の抗体が誘導されたか、すなわち免疫が適切に獲得されたかを数値として確認することが可能となる。2 医療従事者などが業務上のリスク管理として、風疹や麻疹などの抗体価を事前に確認し、基準値に達していない場合には追加の予防接種を行う判断材料としても活用されている。1

一方で、血清抗体価の解釈には注意が必要な場合もある。1 過去に感染した病原体に対する抗体が長期間持続して検出される場合があるため、一度の検査で高値を示したとしても、それが直近の感染によるものか過去の感染や予防接種によるものかの区別がつかないことがある。2 そのため、臨床症状や他の検査結果と組み合わせて総合的に評価することが不可欠である。1

参考文献・出典

  1. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/lab-manual/2015-files/2179-idsc/2483-diag-manual-serology.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/nislg_9.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6