HEALTH WORDS / 用語解説
水痘・帯状疱疹ウイルス
Varicella-zoster virus
水痘・帯状疱疹ウイルスとは、ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス亜科に属する二本鎖DNAウイルスであり、ヒトを唯一の宿主として水痘(みずぼうそう)および帯状疱疹を引き起こす病原体である。1
初感染時には主として小児期に空気感染、飛沫感染、または接触感染によって上気道の粘膜から侵入し、全身の皮膚や粘膜に水疱を伴う発疹を特徴とする水痘を発症する。1
水痘が治癒した後も、ウイルスは知覚神経節(後根神経節や三叉神経節など)の神経細胞内に潜伏感染し続け、生涯にわたって免疫学的統御のもとで生存し続ける特性を持っている。2
加齢、免疫抑制状態、疲労、ストレスなどによって宿主の細胞性免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが神経の走行に沿って再活性化を起こし、多くの場合には体の片側に強い神経痛を伴う帯状の水疱病変を生じる帯状疱疹を発症する。1
帯状疱疹の合併症として最も頻度が高く問題となるのは、皮膚症状が消失した後も数か月から数年にわたって持続することがある激しい神経痛である帯状疱疹後神経痛であり、高齢者において発症リスクが高くなる。2
診断には、水疱内容液や擦過物を用いたPCR法によるDNAの検出や、ウイルス分離、さらには血清抗体価の測定などが用いられ、迅速な確定診断と抗ヘルペスウイルス薬による早期治療が重症化や合併症の予防に重要である。1
予防の観点においては、小児に対する水痘ワクチンの定期接種が導入されており、これにより社会全体の発症率や入院率の大幅な低減が図られているほか、近年では中高年以降を対象とした帯状疱疹予防のためのワクチン接種も広く推奨されている。2