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HEALTH WORDS / 用語解説

身体的侵襲

Physical Invasion

身体的侵襲とは、外科手術、検査、治療などの医療行為によって、生体の皮膚や粘膜を切開したり、組織や臓器に器具を穿刺・挿入したりすることで、一時的あるいは継続的に身体の構造や機能、恒常性に物理的な負担や損傷を与える侵襲のことである。1

現代の医療においては、疾病の正確な診断や治療を行う上で身体的侵襲を伴う手技が不可欠である一方、その程度や患者への影響を十分に評価し、管理することが求められている。2

臨床現場における身体的侵襲の具体例としては、メスなどを用いた外科手術をはじめ、血管へのカテーテル挿入、組織採取を目的とした生検、注射針を用いた採血や薬液の投与などが挙げられる。3

人体は本来、外界からの異物の侵入や組織の損傷に対して生体防御反応やストレス応答を引き起こす機能を有しているため、身体的侵襲が加わると神経系、内分泌系、免疫系などを介して多様な反応が生じる。1

大きな身体的侵襲が加わった場合、術後疼痛、炎症反応、代謝亢進、免疫機能の低下などが引き起こされ、合併症や感染症のリスクが増加することが知られている。2

そのため、医療従事者は侵襲の程度を最小限に抑えることを目指しており、例えば従来の開腹手術に比べて皮膚の切開範囲が小さく身体的侵襲が少ない腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術などの低侵襲治療が広く普及してきている。3

また、医学研究や臨床試験の分野においても、ヒトを対象とする研究において被験者の安全と人権を保護する観点から、身体的侵襲を伴う研究の妥当性や危険性について倫理審査委員会等による厳格な審査が行われる。3

臨床試験等のガイドラインにおいては、研究に伴う予測される不利益や身体的侵襲の大きさと、得られる学術的・医学的な利益との比較衡量を行うことが義務付けられており、被験者に対する負担が最小限に抑えられていることが確認されなければならない。1

さらに、インフォームド・コンセントのプロセスにおいては、患者や被験者に対して当該医療行為や研究に伴う身体的侵襲の内容、予測される副作用や合併症の危険性について十分に説明し、自由意思による同意を得ることが法的および倫理的に必須とされている。2

参考文献・出典

  1. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000928230.pdf ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立国会図書館: https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I023880536-00 ↩1 ↩2 ↩3
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000055279.pdf ↩1 ↩2 ↩3