HEALTH WORDS / 用語解説
香砂六君子湯
Kosyakikkunshito
香砂六君子湯とは、胃腸の機能が低下し、食欲不振、心窩部の膨満感、悪心、嘔吐、下痢などの症状を訴える患者に対して広く用いられる漢方薬である伝統的な方剤である。1
本方剤は、六君子湯を構成する生薬群に、木香と砂仁の2つの生薬を加えた組成となっている。2
基本となる六君子湯は、人参、白朮または蒼朮、茯苓、甘草、陳皮、半夏の6種類の生薬からなる四君子湯に陳皮と半夏を加えたものであり、気を補い脾胃の働きを高める補気健脾の効能に加えて、水毒を取り除く利水や化痰の作用を持つ処方である。3
そこに配伍される木香は、芳香性の健胃作用や理気作用を持ち、消化管の運動を調節して腹痛や腹部膨満感を緩和する目的で加えられる。4
もう一つの追加生薬である砂仁は、胃腸の気の巡りを改善し、嘔吐や下痢、消化不良を抑える作用が期待される。4
これらの生薬の相乗的な効果により、香砂六君子湯は単なる消化器の機能低下だけでなく、ストレスなどによる自律神経の失調が関与する機能性ディスペプシアや慢性胃炎などの疾患に対しても応用されることがある。1
臨床の現場においては、体力が低下した虚証の傾向にあり、胃腸が冷えやすく食欲がわかない状態の患者に処方されることが多い。2
また、近年の基礎医学や臨床医学の研究においては、香砂六君子湯が摂食中枢に作用するホルモンであるグレリンの分泌や血中濃度に影響を与え、食欲不振の改善に寄与する可能性などが検討されている。2
参考文献・出典
- 一般用漢方製剤承認基準について: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000109590.pdf ↩1 ↩2
- 医療用医薬品 : 香砂六君子湯: https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067341 ↩1 ↩2 ↩3
- 医療用医薬品 : 六君子湯: https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067215 ↩
- 第十八改正日本薬局方解説書: https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001064516.pdf ↩1 ↩2