HEALTH WORDS / 用語解説
鱗
Scale
鱗とは、主に脊椎動物の体表を覆う硬い薄片状の構造物の総称であり、保護や運動補助などの多様な機能を担う生体組織である。1 魚類、爬虫類、鳥類の脚部、哺乳類の一部(センザンコウなど)において発達がみられ、分類群によってその発生学的な由来や組織学的構造は大きく異なる。2
魚類の鱗は、その骨格系および皮膚との関係からいくつかの主要なタイプに大別される。 硬骨魚類に見られる代表的なものとして、真皮由来の骨質層と硬組織からなる硬鱗や、コラーゲン繊維層の上に石灰化した薄い板が重なる円鱗および櫛鱗が存在する。2 これらの鱗は魚類の体表を摩擦から守りつつ、粘液を保持して遊泳時の流体抵抗を軽減する役割を果たしている。1 また、軟骨魚類であるサメやエイ類が持つ鱗は皮歯(ひし)と呼ばれ、哺乳類の歯と相同な構造を持ち、エナメル質様の硬組織で覆われている。2
陸上脊椎動物である爬虫類の鱗は、魚類の真皮性の鱗とは異なり、表皮が角質化して形成された皮膚の折り畳み構造である。2 ヘビやトカゲなどの体表を覆う角質鱗は、体内からの水分蒸散を防ぐ極めて重要な適応であり、乾燥した陸上環境への進出において決定的な役割を果たした。1 爬虫類の成長に伴う脱皮の際には、この表皮由来の鱗の層が古いものから新しいものへと一斉に、あるいは断続的に更新される。2
鳥類においても、祖先形質の名残として脚部や足指に角質鱗が観察され、これは哺乳類の爪や毛、爬虫類の鱗と同様にケラチンを主成分としている。2 このように、鱗は脊椎動物の進化の過程において、防御、水分保持、体温調節、さらには求愛のための色彩提示など、多様な生物学的機能を獲得しながら変化してきた器官である。1