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HEALTH WORDS / 用語解説

FOXP3

Forkhead box P3

FOXP3とは、制御性T細胞(Treg)の分化および機能においてマスター遺伝子として機能する転写因子である。1 免疫系の過剰な反応を抑え、自己免疫疾患を防ぐ上で中心的な役割を担っている。1

FOXP3は、FoxP(Forkhead box P)タンパク質ファミリーに属する転写因子であり、X染色体上に位置する遺伝子によってコードされている。2 哺乳類から魚類に至るまで広く保存されており、その構造にはDNA結合を担うフォークヘッドドメインが含まれている。3 分子生物学的な解析から、FOXP3は制御性T細胞(Treg)の特異的なマーカー分子として働くことが明らかにされている。1

免疫応答の文脈において、FOXP3はナイーブT細胞からの制御性T細胞への誘導を直接的に制御する。1 FOXP3が発現することにより、T細胞は通常のエフェクターT細胞としての性質を失い、免疫抑制能を獲得する。1 この制御性T細胞は、自己抗原に対する免疫耐性の維持に寄与し、自己免疫疾患やアレルギー反応の過剰な進展を抑制する機能を持つ。1 したがって、FOXP3の量的あるいは質的な異常は、免疫系のバランスに重大な影響を及ぼすことになる。1

臨床医学的には、ヒトにおけるFOXP3遺伝子の変異は、免疫調節異常、多発性内分泌障害、腸症、X連鎖症候群(IPEX症候群)と呼ばれる重篤な遺伝性疾患を引き起こすことが知られている。1 IPEX症候群の患者では、制御性T細胞の機能不全に起因して、自己免疫性の糖尿病、皮膚炎、下痢などの全身症状が早期から発現する。1 また、マウスモデルを用いた研究においても、Foxp3の欠損が同様の自己免疫病態をもたらすことが示されており、免疫学における重要な研究対象となっている。1

さらに、FOXP3は腫瘍免疫やがん治療の領域でも注目されている。2 悪性腫瘍の微小環境においては、制御性T細胞が多数集積し、がん細胞に対する免疫担当細胞の攻撃を阻害することが報告されている。2 この現象に関与するFOXP3の発現や制御性T細胞の動態を標的とした分子標的薬の開発や、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法に関する研究が盛んに行われている。2

参考文献・出典

  1. NBDCヒトデータベース: https://humandb.dbcls.jp/hum0334/v1 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
  2. J-GLOBAL: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902045618790320 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. バイオサイエンスデータベースセンター: https://integbio.jp/rdf/togodb/view/geneinfo_hgnc_complete_set?hgnc_id=HGNC:9107 ↩