HEALTH WORDS / 用語解説
IL-17D
Interleukin-17D
IL-17ファミリーは、T細胞などの免疫細胞から産生されるシグナル伝達物質であり、これまでにIL-17AからIL-17Fまでの6種類のメンバーが同定されている。1
その中でIL-17Dは、他のIL-17ファミリー分子と同様にアミノ酸配列において一定の相同性を有しているが、その発現分布や生理的役割には独自の特異性が認められている。2
ヒトおよびマウスを用いた遺伝子発現解析において、IL-17DのmRNAは様々な組織で検出されるが、特に骨格筋、心臓、脳、肺、腎臓などの非免疫組織や消化管などで比較的強く発現していることが明らかにされている。2
免疫系においては、単球やリンパ球などの一部の免疫細胞においても発現が見られ、生体内の恒常性維持や感染症に対する防御機構への関与が示唆されている。1
IL-17Dの機能的な特徴の一つとして、造血系細胞に対するサイトカインの産生誘導作用が挙げられており、特にインターロイキン-6やIL-8などの炎症性サイトカインおよびケモカインの分泌を促進することが報告されている。2
これにより、局所的な炎症部位への好中球やマクロファージなどの免疫細胞の遊走と活性化を促し、生体の防御反応を増強する役割を担っていると考えられている。1
また、近年の研究では、IL-17Dが腫瘍免疫やウイルス感染の制御にも一定の関与をしている可能性が指摘されている。1
特定のエフェクター細胞の分化やアポトーシスの誘導を介して、がん細胞の増殖抑制や生体防御に寄与しているという見解もあり、基礎医学および免疫学の領域において継続的な調査が進められている。2
しかしながら、IL-17Dが特異的に結合する受容体や、シグナル伝達を媒介する詳細な分子メカニズムについては、他のIL-17ファミリー分子と比較して未解明な部分も多い。1
今後のさらなる分子生物学的解析や動物実験を通じて、IL-17Dが関与する新たな疾患病態の解明や、将来的な創薬標的としての可能性についての検証が期待されている。2