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HEALTH WORDS / 用語解説

NF1

NF1とは、神経線維腫症1型の略称であり、カフェオレ斑や神経線維腫などの皮膚症状を主徴とし、全身の多彩な臨床症状を伴う常染色体優生遺伝性の遺伝性疾患である。1 フォン・レックリングハウゼン病とも呼ばれる。2

NF1は、17番染色体(17q11.2)に存在するNF1遺伝子の変異によって引き起こされる。1 このNF1遺伝子は、細胞増殖や分化を負に制御するタンパク質であるニューロフィブロミンをコードしている。2 ニューロフィブロミンの機能が変異によって失われると、Rasシグナル伝達経路が異常に活性化され、腫瘍の形成などが促進されることになると考えられている。1

NF1の臨床症状は非常に多彩であり、患者ごとに症状の現れ方や重症度が異なる表現型の多様性を示す。1 最も頻度の高い皮膚症状の一つがカフェオレ斑であり、乳幼児期から躯幹や四肢に淡褐色の色素斑として出現する。2 また、腋窩や鼠径部に見られる細かな色素斑である雀卵斑様皮疹(リッシュ斑ではない、いわゆる脇の下のそばかす様皮疹)も特徴的な徴候の一つである。1

成長に伴って神経線維腫が出現する。1 神経線維腫には、皮膚表面に盛り上がる表在性神経線維腫や、神経の走行に沿って結節状またはびまん性に広がる結節性神経線維腫が含まれる。2 さらに、神経叢に沿って大きく増殖する大型神経線維腫である叢状神経線維腫が形成されることがあり、これは疼痛や運動障害を引き起こすだけでなく、まれに悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)へと悪性化することがあるため注意が必要である。1

眼科的症状としては、虹彩に生じる過誤腫であるリッシュ斑が診察によって高率に確認される。2 また、視神経に神経膠腫(視神経グリオーマ)が発生することがあり、視力障害や視野障害の原因となる。1

骨格系の異常もNF1の特徴であり、脊柱側弯症や、脛骨などの長管骨の変形・偽関節形成が認められることがある。2 加えて、学習障害や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害、認知機能の低下といった神経発達症を合併する頻度が高いことが知られている。1

NF1の診断は、国際的に合意された診断基準に基づいて行われる。2 カフェオレ斑の数と大きさ、神経線維腫の有無、腋窩や鼠径部の雀卵斑、リッシュ斑、特徴的な骨病変、視神経グリオーマ、そして家族歴(両親や兄弟にNF1患者がいること)といった複数の臨床的特徴のうち、一定の基準を満たす場合に臨床診断がなされる。1 必要に応じて遺伝学的検査を行い、NF1遺伝子の変異を確認することも可能である。2

現在、NF1に対する根本的な遺伝子治療は確立されていないため、治療方針はそれぞれの症状に応じた対症療法が中心となる。1 疼痛を伴う腫瘍や、機能障害を引き起こす腫瘍、あるいは悪性化が疑われる叢状神経線維腫などに対しては、外科的切除が行われることがある。2 また、手術が困難な不可逆的な叢状神経線維腫に対しては、MEK阻害薬などの分子標的薬を用いた薬物療法が選択肢となる場合がある。1 整形外科的疾患や眼科的疾患、発達面での課題に対しても、それぞれの専門科が連携した集学的治療と長期的な経過観察が必要とされる。2

参考文献・出典

  1. 難病情報センター: https://www.nanbyo.or.jp/entry/4183 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000580795.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10