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HEALTH WORDS / 用語解説

NaV1.8

Voltage-gated sodium channel subunit alpha Nav1.8

NaV1.8とは、主として末梢の痛覚受容神経である求心性のC繊維やAδ繊維の細胞膜に多く発現する、電位依存性ナトリウムチャネルのαサブユニットをコードする遺伝子、および同遺伝子によって発現するチャネル蛋白質である1。

電位依存性ナトリウムチャネルは、細胞の電気生理学的な興奮や活動電位の発生・伝導において極めて重要な役割を担う膜蛋白質であり、その中でもNaV1.8は活動電位の立ち上がりや持続時間の維持、特に閾値付近での脱分極に深く関与している2。

哺乳類の末梢神経系において、NaV1.8は主として後根神経節(DRG: Dorsal Root Ganglion)の神経細胞に特異的に発現しており、侵害受容器における活動電位の反復発火を維持する上で中心的な機能を果たしている1。

通常の生理的条件下だけでなく、炎症や神経障害といった病態生理学的状況下においても、NaV1.8の発現量や機能が変動することが知られており、慢性痛や神経障害性疼痛の発生機序に深く関わっていると考えられている2。

特に末梢神経損傷後や組織炎症時には、サイトカインやケモカインなどの炎症性メディエーターの影響を受けてNaV1.8の輸送や膜発現が変化し、痛覚過敏やアロディニアといった異常疼痛を引き起こす主要因の一つとして機能することが分子生物学的・薬理学的研究により示されている2。

このような背景から、NaV1.8は慢性疼痛に対する新しい鎮痛薬の有望な分子標的(ドラッグターゲット)として広く注目を集めており、非オピオイド系の鎮痛薬開発において選択的なNaV1.8阻害薬の開発が進められている1。

参考文献・出典

  1. GenBank: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6335 ↩1 ↩2 ↩3
  2. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15286367/ ↩1 ↩2 ↩3