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HEALTH WORDS / 用語解説

RORγt

RORγtとは、RORファミリーに属する核内受容体の一つであり、ヘルパーT細胞の一種であるTh17細胞の分化および機能発現において中心的な役割を果たす転写因子である。1 RORγtは免疫応答や炎症性疾患の病態形成において極めて重要な因子として分子生物学や免疫学の分野で研究されている。2

RORγtは、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体(ROR)ファミリーの一つであるRORγのアイソフォームとして同定された。遺伝子発現の制御を行う転写因子として働き、特定のDNA配列に結合して標的遺伝子の転写を誘導する。哺乳類においては、胸腺におけるT細胞の分化やリンパ節の発生といった免疫系の器官形成に深く関与していることが知られている。1

免疫学的な観点から、RORγtはTh17細胞のマスターレギュレーターとして広く認知されている。ナイーブT細胞がサイトカインの刺激を受けてTh17細胞へと分化する際、RORγtの発現が誘導され、これが引き金となってインターロイキン-17(IL-17)などの炎症性サイトカインの産生が促される。Th17細胞は生体防御において細菌や真菌に対する免疫反応を担う一方で、その過剰な活性化は自己免疫疾患を引き起こす原因となる。2

RORγtの異常な活性化や発現亢進は、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患などの様々な自己免疫疾患や慢性炎症性疾患の病態に深く関与していることが明らかにされている。そのため、RORγtの機能を抑制する分子や低分子化合物は、新しい治療薬としての創薬ターゲットとして大きな注目を集めている。製薬企業や学術機関において、RORγtのアンタゴニストの開発に向けた臨床試験や基礎研究が精力的に進められている。2

このように、RORγtは基礎医学および臨床医学の双方において極めて重要な生体分子であり、免疫細胞の分化制御メカニズムの解明や、難治性免疫疾患に対する創薬研究の進展に欠かせない用語となっている。1

参考文献・出典

  1. 独立行政法人科学技術振興機構: https://www.jst.go.jp/pr/announce/20080324/index.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構: https://www.amed.go.jp/news/release_20200615.html ↩1 ↩2 ↩3