ホームグリピカン5

HEALTH WORDS / 用語解説

グリピカン5

Glypican-5

グリピカン5とは、細胞膜にグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを介して結合するヘパラン硫酸プロテオグリーンのグリピカンファミリーに属するタンパク質の一つである。1 ヒトではGPC5遺伝子によってコードされている。2

グリピカンファミリーは細胞外マトリックスと細胞表面との間で様々なシグナル伝達分子と相互作用を持ち、細胞の増殖や分化、形態形成の調節において重要な役割を果たしている。1 特にグリピカン5は、中枢神経系の発生過程や肺の発達などにおいて特異的な発現を示すことが知られており、組織の発生や構造維持に関与していると考えられている。3

近年の分子生物学および腫瘍学の研究においては、グリピカン5と各種がんとの関連性が注目されている。2 悪性腫瘍の種類によって、グリピカン5は腫瘍抑制因子として機能する場合と、逆にがん細胞の増殖や浸潤を促進する癌遺伝子様として機能する場合の両方が報告されている。3 例えば、ある種の脳腫瘍や肺がん、横紋筋肉腫などの疾患において、本タンパク質の発現変動や遺伝子異常が見出されており、病態生理学的な意義の解明が進められている。2

また、グリピカン5はWntシグナル伝達経路やHedgehogシグナル伝達経路など、細胞の運命を決定する主要なシグナル伝達ネットワークに対して、ヘパラン硫酸鎖を介してリガンドと受容体の結合を調節するモジュレーターとして作用することが示唆されている。1 このように、グリピカン5は発生生物学的な生理作用だけでなく、癌をはじめとする難治性疾患のバイオマーカーや分子標的薬の標的分子としての可能性についても研究が行われている重要な生体分子である。3

参考文献・出典

  1. KEGG GENOME: https://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?hsa:2262 ↩1 ↩2 ↩3
  2. Genetests: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2262 ↩1 ↩2 ↩3
  3. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2262 ↩1 ↩2 ↩3