HEALTH WORDS / 用語解説
コクサッキーウイルスA6
Coxsackievirus A6
コクサッキーウイルスA6とは、エンテロウイルス属に分類されるピコルナウイルス科のウイルスであり、主に小児を中心に感染を引き起こす病原体の一つである。1 本ウイルスは、夏風邪の代表的な疾患である手足口病の主要な原因ウイルスとして知られている。2
コクサッキーウイルスA6による感染症は、従来型の手足口病と比較して、臨床的にいくつかの特徴的な症状を示すことが近年の疫学的調査により明らかにされている。1 典型的な手足口病では口腔内の粘膜疹や手足の水疱性発疹が主症状となるが、本ウイルスに起因する感染症では、顔面や躯幹を含む広範囲にわたる強い水疱や紅斑が出現することが多い。1 また、発熱を伴うことが多く、症状が治まる過程あるいは治癒した数週間後に、爪脱落などの爪の異常が合併症として生じるケースがあることも大きな特徴である。1
感染経路としては、患者の飛沫や唾液などを介する飛沫感染のほか、水疱の内容物や糞便に含まれるウイルスが口や結膜の粘膜を介して侵入する接触感染が主である。2 保育施設や幼稚園などの集団生活の場において、幼児の間で流行しやすい傾向が確認されている。1
診断にあたっては、臨床症状の観察に加えて、咽頭拭い液や糞便などの検体を用いたウイルス分離やPCR法などの遺伝子検査により病原体の特定が行われることがある。1 現在のところ、コクサッキーウイルスA6に対する特異的な抗ウイルス薬やワクチンは臨床現場において実用化されておらず、治療は発熱や疼痛に対する対症療法が基本となる。2 予防の観点からは、手洗いの徹底や排泄物の適切な衛生管理が極めて重要である。2