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HEALTH WORDS / 用語解説

デスモプレキン

Desmoplakin

デスモプレキンとは、細胞間接着装置の一つであるデスモソームを構成する主要なタンパク質であり、上皮細胞などの間で強力な機械的ストレスに対する耐性を維持するために不可欠な細胞骨格連結因子である。1

デスモプレキンはプラキンファミリーに属する巨大な細胞内タンパク質であり、分子量は約250 kDaから300 kDaに達する。2

構造的にはN末端ドメイン、中央のロッドドメイン、そしてC末端ドメインの3つの主要な領域に大別される。2

N末端領域にはプラコグロビンやデスモプラキン自身の二量体形成に関与する部位が存在し、デスモソームのプラーク形成において細胞膜近傍の接着分子と複合体を構築する役割を担う。3

中央のロッドドメインはアルファヘリックス構造をとり、分子同士がコイルドコイルを形成してタンパク質全体の長軸方向の骨組みを維持する。2

C末端ドメインには中間径フィラメント(ケラチンやビメンチンなど)との結合部位が存在しており、細胞質内の細胞骨格ネットワークとデスモソーム接着装置を直接的に架橋している。4

このデスモプレキンを介したデスモソームと中間径フィラメントの結合により、組織全体に加わる物理的負荷や伸展ストレスが細胞間および細胞内で効率的に分散され、上皮組織の機械的強度が保たれている。5

ヒトにおいてデスモプレキンをコードする遺伝子はDSP遺伝子であり、この遺伝子の変異や機能異常は様々な遺伝性疾患や皮膚疾患の原因となることが知られている。6

例えば、DSP遺伝子の変異は不整源性右室心筋症(ARVC)や拡張型心筋症などの心疾患を引き起こすことがあり、心筋細胞における機械的結合の破綻や電気生理学的異常との関連が示されている。7

また、皮膚においては表皮水疱症の一種や毛髪異常、掌蹠角化症などを引き起こす原因としてもデスモプレキンの異常が報告されている。8

さらに、自己免疫疾患である天疱瘡の一部において、デスモプレキンや関連するデスモソーム構成成分に対する自己抗体が産生されることがあり、これが細胞接着の喪失や水疱形成を引き起こす病態に関与している。9

このようにデスモプレキンは、分子生物学、細胞生物学、および臨床医学の各分野において、組織の構造維持と疾患発症メカニズムを理解する上で極めて重要な生体分子の一つである。1

参考文献・出典

  1. JDreamⅢ: https://jdream3.com/ ↩1 ↩2
  2. American Journal of Physiology-Cell Physiology: https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpcell.00286.2013 ↩1 ↩2 ↩3
  3. Molecular Biology of the Cell: https://www.molbiolcell.org/doi/10.1091/mbc.e10-02-0145 ↩
  4. Journal of Cell Science: https://journals.biologists.com/jcs/article/125/11/2565/32777/Desmoplakin-mechanisms-of-membrane-recruitment ↩
  5. Nature Reviews Molecular Cell Biology: https://www.nature.com/articles/nrm2909 ↩
  6. National Library of Medicine: https://medlineplus.gov/genetics/gene/dsp/ ↩
  7. Circulation: Genomic and Precision Medicine: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCGEN.119.002816 ↩
  8. Journal of Dermatological Science: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S092318111830302X ↩
  9. Autoimmunity Reviews: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S156899721630123X ↩