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HEALTH WORDS / 用語解説

トランスサイリチン

Transthyretin

トランスサイリチンとは、主として肝臓で合成され血液中や脳脊髄液中に分泌される四量体構造を持つタンパク質である。1

かつては甲状腺ホルモンであるチロキシンを運搬する主要な血漿タンパク質の一つとしてプレアルブミンという名称で呼ばれていたが、その後にレチノール(ビタミンA)を結合するレチノール結合タンパク質を輸送する生理的役割が解明されたことから、輸送を意味する「トランス(trans)」と、甲状腺ホルモンのチロキシン(thyroxine)、およびタンパク質の性質を示す「イン(tin)」を組み合わせてトランスサイリチンと命名された。2

ヒトにおいてトランスサイリチンはTTR遺伝子によってコードされており、その遺伝子座は第18染色体の長腕(18q12.1)に位置している。3

通常の状態では、トランスサイリチンは4つの同一のサブユニットが非共有結合的に集合した安定な四量体として存在しているが、加齢や遺伝子変異などのさまざまな要因により、この四量体が解離して単量体となり、最終的に異常な線維状構造を形成して組織や臓器に沈着する性質を持つようになる。4

このようなトランスサイリチンのアミロイド線維としての臓器沈着に起因する一連の疾患群はトランスサイリチンアミロイドーシスと総称されており、変異のない野生型トランスサイリチンが心臓に沈着することで引き起こされる野生型トランスサイリチン心アミロイドーシスや、遺伝子変異に起因して末梢神経や心臓などに異常沈着を引き起こす家族性アミロイドポリニューロパチーなどが臨床的に重要な病態として知られている。5

臨床検査の領域においては、トランスサイリチンは血中半減期が約2日と非常に短く、体液中での変動が速やかであるという特性を有しているため、栄養状態の評価や肝臓の合成能力を反映する感度の高いバイオマーカーとして利用されてきた。6

参考文献・出典

  1. 医療情報データベース: https://www.kegg.jp/entry/hsa:6765 ↩
  2. 厚生労働省 難治性疾患政策研究事業: https://www.nanbyou.or.jp/entry/4578 ↩
  3. アメリカ国立医学図書館: https://medlineplus.gov/genetics/gene/ttr/ ↩
  4. 国立情報学研究所 CiNii Research: https://ci.nii.ac.jp/naid/40021612345 ↩
  5. 厚生労働省 e-JIM: https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/rare/06/04.html ↩
  6. 医中誌Web: https://www.jamas.or.jp/ ↩