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HEALTH WORDS / 用語解説

ヒトゲノム

Human Genome

ヒトゲノムとは、ヒトという生物の個体を形成・維持するために必要な一揃えのDNA(デオキシリボ核酸)に含まれる遺伝情報の全体を指す。1 ヒトゲノムは、細胞の核内に存在する23対(計46本)の染色体およびミトコンドリア内に分散して存在するDNAの総体にコードされている。2

ヒトゲノムの本体であるDNAは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基の配列によって構成されており、その全体長は約30億塩基対という膨大な情報量を持つ。3 この約30億塩基対の配列の中には、タンパク質の一次構造を規定する遺伝子領域だけでなく、遺伝子発現の調節に関わる領域や、機能が十分に解明されていない領域も含まれている。4 ヒトゲノム計画によって明らかにされた遺伝子の数は、当初の予想よりも大幅に少なく、タンパク質をコードする遺伝子は約2万から2万5千個程度であると見積もられている。5

ヒトゲノム上の塩基配列は、個々の人間の間で約99.9%が共通しているが、残りの約0.1%には個人間での差異が存在する。1 この個人差の大部分は、1塩基が別の塩基に置き換わっている一塩基多型(SNP)や、DNAの挿入・欠失などに起因しており、これらが体質の違いや疾患に対する感受性、薬剤に対する応答性の違いをもたらす要因となっている。2

ヒトゲノムの全塩基配列を解読する国際的なプロジェクトであるヒトゲノム計画は、2003年に完了宣言がなされたが、当時の技術では技術的に解読が困難であった領域や不完全な部分が残されていた。3 その後、シーケンシング技術の飛躍的な進歩に伴い、テルロメアからテロメアまでの完全なヒトゲノム配列を解読する研究が進められ、真に網羅的なゲノム情報の取得が達成されている。4 現代においては、解読されたヒトゲノムの情報を基盤として、個々のゲノム情報に応じた医療を提供するゲノム医療や、疾患の原因となる遺伝子変異の同定、さらには進化生物学的な人類のルーツの解明など、幅広い分野への応用が進められている。5

参考文献・出典

  1. NHGRI: https://www.genome.gov/about-genomics/fact-sheets/Genomics-Fact-Sheet ↩1 ↩2
  2. 国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル: https://current.ndl.go.jp/node/6443 ↩1 ↩2
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokuku_genshiryoku_gyousei/other/other/dl/g_0001.pdf ↩1 ↩2
  4. 文部科学省: https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijutsu/gijutsu2/03/gaiyou/02030501/003.htm ↩1 ↩2
  5. 内閣府: https://www8.cao.go.jp/cstp/output/iken/h180517_gensei_s.pdf ↩1 ↩2