HEALTH WORDS / 用語解説
同種
Allogeneic
同種とは、同一の種に属する異なる個体間における関係性を示す生物学および医学用語である。1 主として移植医療の分野において、患者自身以外の他人から組織や細胞、臓器の提供を受ける移植である同種移植を指す文脈で頻繁に用いられる。2
免疫学的な観点において、同種の間には主要組織適合遺伝子複合体(MHC)、ヒトゲノム上の遺伝子座、あるいは白血球型(HLA)などの遺伝的差異が存在する。1 このため、ある個体の細胞や組織を別の個体に移植した場合、受容者の免疫系が提供された組織を「非自己」として認識し、激しい免疫反応や拒絶反応を引き起こす原因となる。2 このような移植片拒絶を回避または軽減するため、臨床の場では事前のHLAタイピングによる適合性の評価や、強力な免疫抑制剤の投与が不可欠となる。2
造血幹細胞移植などの血液学的治療においても、同種間での細胞移植は重要な役割を担っている。2 同種移植によってドナー由来の免疫細胞が患者の体内に定着すると、残存する白血病細胞などの腫瘍細胞を攻撃して排除する「移植片対白血病効果(GVL効果)」や「移植片対腫瘍効果(GVT効果)」という有益な免疫応答が誘導されることがある。1 その一方で、ドナーのリンパ球が患者の正常な組織を標的として攻撃することで発症する移植片対宿主病(GVHD)という深刻な合併症のリスクも伴う。2
このように、同種という概念は、遺伝学的な多様性に基づいた個体間の相違を前提としており、再生医療やがん治療における細胞製剤の開発、安全管理、効果予測を行う上で極めて重要な基準となっている。1