HEALTH WORDS / 用語解説
ボイド赤痢菌
Boyd's bacillus / Shigella boydii
ボイド赤痢菌とは、グラム陰性の通性嫌気性桿菌であり、腸内細菌科に属する赤痢菌属の1種である。1 2
赤痢菌属は生化学的性質や抗原性に基づいて4つの菌種(赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ボイド赤痢菌、志賀赤痢菌)に分類されており、ボイド赤痢菌はその中の血清群Cに相当する。1 2
本菌はヒトを唯一の宿主とし、経口感染によって細菌性赤痢を引き起こす病原体である。2 1
赤痢菌類は極めて少ない菌量(10〜100個程度)でも感染を成立させる高い感染価を持っているため、ヒトからヒトへの接触感染や、汚染された水や食品を介した経口感染によって容易に集団感染を引き起こす特徴がある。2 1
感染すると数日から1週間程度の潜伏期間を経て発症し、主な臨床症状として発熱、腹痛、下痢、裏渋り(排便後も便意が残る感覚)などが現れ、粘血便(血液や粘液が混じった便)が排泄されるのが典型的な経過である。2 1
病原性の発現においては、腸管の上皮細胞への侵入能力や、宿主の免疫応答を回避する機構が深く関与している。2 1
我が国においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)において3類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届出を行うことが義務付けられている。1 3
診断にあたっては、患者の糞便を用いた分離培養検査によって原因菌を特定し、血清学的同定を行うことが基本となる。1 2
治療には主として抗菌薬の投与が行われるが、近年では薬剤耐性菌の出現が臨床上の大きな課題となっているため、感受性試験の結果に基づいた適切な薬剤選択が求められる。1 2
予防の観点からは、手洗いの徹底などの衛生管理に加え、汚染の懸念がある飲用水や食品の加熱殺菌が極めて重要であり、公衆衛生学的な対策が継続的に実施されている。2 1
参考文献・出典
- NIID 感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について: https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/shigella.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
- 国立感染症研究所 赤痢とは: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennjouhou/405-shigella-info.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
- 厚生労働省 感染症法に基づく医師及び獣医師の届出に関する省令: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html ↩