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HEALTH WORDS / 用語解説

リッサウイルス

Lyssavirus

リッサウイルスとは、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)モノネガウイルス目に属するRNAウイルスの1属であり、人獣共通感染症である狂犬病の病原体を含むウイルスのグループである。1

リッサウイルス属に分類されるウイルスは、哺乳類の中枢神経系に感染して致死的な脳炎を引き起こす性質を持つ。2

ウイルス粒子の形態は特徴的な弾丸状であり、外側にはエンベロープを有している。ゲノムは一本鎖マイナス鎖RNAであり、ウイルス遺伝子はヌクレオプロテインやマトリックス蛋白、糖蛋白などをコードしている。1

従来、狂犬病ウイルス(Rabies virus)が代表的な種として広く知られていたが、分子系統学的な解析が進むにつれて多くの遺伝子型や異なるウイルス種が発見された。現在では国際ウイルス分類委員会(ICTV)等により複数の種(スピーシーズ)に分類されている。1

宿主となる動物は犬科や猫科などの陸生哺乳類にとどまらず、コウモリ類が主要な自然宿主および感染源となっているリッサウイルスも多数存在する。特に食虫目や翼手目の動物からは、多様な遺伝子型のリッサウイルスが検出されている。2

感染経路としては、主に感染動物からの咬傷を通じて、唾液中に含まれるウイルスが傷口や粘膜から体内に侵入することが挙げられる。体内に入ったウイルスは末梢神経を伝わって中枢神経系へと達し、脳内で増殖することで特有の神経症状を誘発する。1

潜伏期間は感染部位と中枢神経との距離や、侵入したウイルスの量によって数日から数ヶ月、あるいはそれ以上に及ぶことがある。発症した場合の致死率は極めて高く、事実上100パーセントに近いとされる。2

予防および治療の観点からは、感染が疑われる動物に接触した場合の暴露後予防(PEP)として、ワクチンの接種や抗体製剤の投与が極めて重要である。また、国内への侵入を防ぐための検疫制度や、対象動物に対する予防接種の徹底が公衆衛生上での主要な対策となっている。2

参考文献・出典

  1. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/385-rabies-intro.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rabies/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4