HEALTH WORDS / 用語解説
先天性障害
Congenital disorders
先天性障害とは、出生前に生じた身体的または機能的な構造異常や代謝異常などを総称する医学用語であり、出生時またはそれ以前に診断される疾患や障害のことである。1 先天性奇形、先天性代謝異常、染色体異常など多岐にわたる病態が含まれ、形態異常を伴うものから生化学的な代謝の異常にとどまるものまで臨床像は非常に多様である。2
先天性障害の原因は遺伝的要因と環境要因、あるいはその双方の相互作用によって引き起こされると考えられている。1 遺伝的要因としては、遺伝子の突然変異や染色体の数の異常、構造の異常などが挙げられ、これらは親からの遺伝による場合もあれば、配偶子形成の過程や受精卵の初期分裂における偶発的な変異として生じる場合もある。2 一方、環境要因には、妊婦の感染症(風疹やサイトメガロウイルス感染など)、薬剤の投与、放射線曝露、栄養障害、あるいは母体の糖尿病などの基礎疾患が含まれる。1 しかし、多くの先天性障害においては、その明確な原因を単一で特定することが困難である場合も少なくない。2
発生する部位や器官によって症状は多岐にわたり、心血管系の異常である先天性心疾患、神経管の閉鎖不全に起因する二分脊椎などの神経系の障害、口唇口蓋裂などの頭頸部の形態異常が代表的な例として知られている。1 また、目に見える形態的な異常だけでなく、フェニルケトン尿症などの先天性代謝異常症のように、特定の酵素の欠損によって体液や組織に有害物質が蓄積し、中枢神経系をはじめとする全身の機能に重大な影響を及ぼすものもある。2
診断においては、近年の周産期医学および分子生物学の進歩に伴い、妊娠中の超音波検査(エコー検査)や母体血清マーカーテスト、羊水検査などの出生前診断を通じて、多くの構造的異常や染色体異常を早期に発見することが可能となっている。2 さらに、出生後においても新生児マススクリーニングを実施することにより、症状が顕現化する前に先天性代謝異常などを発見し、早期の治療や食事療法を開始することが可能となっている。1
先天性障害に対する治療法および支援は、障害の種類や重症度によって大きく異なる。2 外科的な介入が必要な構造異常に対しては、小児外科や心臓血管外科などによる根治手術や姑息手術が行われる。1 また、代謝異常や内分泌異常に対しては、不足しているホルモンの補充療法や、食事制限などの内科的治療が生涯にわたって継続されることがある。2 身体的・機能的な後遺障害が残る場合でも、理学療法、作業療法、言語聴覚療法などのリハビリテーションや、補装具の活用、療育および特殊教育の提供を通じて、患児の発達を促し社会生活への適応を支援する体制が整えられている。1