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HEALTH WORDS / 用語解説

先天性心疾患

Congenital heart disease

先天性心疾患とは、胎児の心臓および大血管の形成異常によって出生時に見られる構造的な異常の総称である。1 胎児期の心臓発生の過程において、何らかの原因により心房、心室、弁、あるいは心臓に接続する大血管の構築が正常に行われなかった結果として生じる。2

先天性心疾患は小児期に発見される最も頻度の高い先天異常の一つであり、新生児およそ100人に1人の割合で発生するとされている。1 軽症の場合には無症状のまま自然閉鎖したり、生涯にわたって治療を必要としない場合もあるが、重症の場合には乳児期早期から心不全やチアノーゼなどの症状を呈し、生命に関わることもある。2

病態や血行動態の観点から、大きく「チアノーゼを伴う先天性心疾患(チアノーゼ性心疾患)」と「チアノーゼを伴わない先天性心疾患(非チアノーゼ性心疾患)」に分類される。1 チアノーゼ性心疾患の代表例としては、ファロー四徴症、完全大血管転位症、単心室症などが挙げられ、肺循環への血流減少や静脈血が体循環に混入することで皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼを認める。2 一方、非チアノーゼ性心疾患には、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症などの短絡(シャント)疾患や、大動脈縮窄症などの閉塞性疾患が含まれ、左心系から右心系、あるいはその逆への血液の異常な交通が生じる。1

多くの先天性心疾患の発症原因は単一ではなく、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている。1 遺伝子異常や染色体異常(例えばダウン症候群など)が背景にある場合もあれば、妊娠中の風疹などのウイルス感染、母体の糖尿病、特定の薬剤や環境物質への曝露などが危険因子となることが知られているが、大部分の症例では明確な原因を特定することは困難である。2

診断にあたっては、聴診上の心雑音を契機として発見されることが多く、確定診断には心臓超音波検査(心エコー)が非侵襲的かつ非常に有用な検査法として広く用いられる。1 さらに、詳細な解剖学的異常や血行動態を評価するために、胸部X線検査、心電図、心臓MRI検査、心臓カテーテル検査などが適宜行われる。2

治療方針は疾患の種類や重症度によって多岐にわたる。1 軽度な心房中隔欠損症などのように自然治癒が期待できる場合には経過観察が行われるが、心不全の症状がある場合には利尿薬や強心薬などの薬物療法が選択される。2 多くの構造的異常に対しては、外科的治療である心臓血管外科手術による根治術や姑息術が必要となる。1 また、近年の医療技術の進歩に伴い、カテーテル治療(カテーテルを用いた閉鎖術や弁形成術など)の適応が拡大しており、身体的負担の少ない治療法として広く実施されている。2

医療の進歩により先天性心疾患児の救命率および予後は飛躍的に改善し、成人期を迎える患者(成人先天性心疾患患者)が急増している。1 そのため、小児科から成人期医療へのスムーズな移行期医療の確立や、不整脈、心不全の再発、妊娠・出産への対応など、生涯にわたる継続的な専門管理と支援が重要な課題となっている。2

参考文献・出典

  1. 小児慢性特定疾病情報センター: https://www.shouman.jp/disease/details/06_01_023/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 難病情報センター: https://www.nanbyo.or.jp/entry/5101 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8