HEALTH WORDS / 用語解説
卵胞液
卵胞液とは、卵巣内の卵胞(卵胞発育の過程にある卵胞)の内部を満たしている液体成分のことである。1
卵胞液は、卵胞が発育する過程において、卵胞を取り囲む顆粒膜細胞や卵胞膜細胞からの分泌液、および血液成分からの滲出液などが蓄積することによって形成される。2
この液体は単なる物理的な空間の充填にとどまらず、卵胞内で卵子(卵母細胞)が正常に成熟するための微小環境を提供する極めて重要な役割を担っている。2
卵胞液の化学的組成は非常に複雑であり、水分のほか、電解質、各種ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲンなどのステロイドホルモンや性腺刺激ホルモンなど)、タンパク質、酵素、アミノ酸、糖質、成長因子、サイトカインなどが豊富に含まれている。2
これらの成分濃度は、卵胞の発育段階や大きさ、あるいは血中の濃度とは異なる独自の動態を示すことが知られており、卵胞の発達や閉鎖の制御に深く関与している。2
特に排卵前には、卵胞内のホルモン環境や酵素活性の変化によって卵胞液の産生と圧力が増大し、卵胞壁の拡張と排卵メカニズムの引き金となる。2
また、生殖補助医療(ART)の分野においては、体外受精・顕微授精などの不妊治療において採卵を行う際、卵子とともに回収される卵胞液中の成分を分析することが行われている。2
卵胞液中のホルモン値や代謝物質、タンパク質網羅的解析(プロテオミクス)を行うことで、卵子の質や発育能、受精および胚発育の予測につながるバイオマーカーの探索研究が進められている。2
参考文献・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/healthcare/yh-084.html ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907038166547844 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7