HEALTH WORDS / 用語解説
子宮頸腺
Cervical glands
子宮頸腺とは、子宮頸部の内膜(子宮頸管粘膜)に存在する腺組織であり、主として粘液を分泌する管状腺である。1
子宮頸部の組織学的構造において、子宮頸管の粘膜は単層円柱上皮によって覆われており、その上皮が間質に向かって深く落ち込むことで子宮頸腺が形成される。2
この腺組織から分泌される粘液は子宮頸管粘液と呼ばれ、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの血中濃度変動に応じて、その性状や分泌量が周期的に変化する生理的な特徴を持っている。3
排卵期においては、エストロゲンの作用により子宮頸管粘液は水分量が増加して稀薄となり、精子が子宮腔内へ遡上しやすい環境を整える役割を果たす。4
一方で、黄体期や妊娠中においては、プロゲステロンの作用によって子宮頸管粘液は粘稠度が高くなり、外部からの細菌や病原体、および精子の侵入を防ぐ物理的な障壁を形成する。5
子宮頸腺の形態や機能には個人差や年齢的な変化も認められ、閉経後には卵巣ホルモンの分泌低下に伴って子宮頸腺の萎縮や分泌機能の低下が引き起こされることがある。6
また、臨床医学および病理学の領域において、子宮頸腺の増殖や変性は様々な病態と関連していることが知られている。7
例えば、子宮頸管の開口部が粘液や炎症性の組織によって閉塞されると、子宮頸腺の分泌液が貯留してナボット嚢胞(Nabothian cyst)と呼ばれる良性の嚢胞を形成することがある。5
さらに、子宮頸部に発生する悪性腫瘍である子宮頸がんのうち、腺がん(Adenocarcinoma)は、この子宮頸腺を構成する上皮細胞や幹細胞に由来して発生することが病理組織学的に明らかにされている。8
このように、子宮頸腺は生殖生物学および産婦人科学において、生殖機能の維持、感染防禦、ならびに腫瘍発生の観点から極めて重要な構造物の一つである。1
参考文献・出典
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nansando.co.jp/store/c/c1023/ ↩1 ↩2
- リハビリテーション医学・生物学事典: https://www.medical-rehabilitation.net/biological-terms/cervical-glands.html ↩
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000000-00 ↩
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/body/y-037.html ↩
- 日本産科婦人科学会 産婦人科用語集: https://www.jsog.or.jp/modules/glossary/index.php?content_id=1 ↩1 ↩2
- 日本病理学会 病理学用語集: https://jsp.pathology.or.jp/glossary/ ↩
- 医学中央雑誌: https://www.jamas.or.jp/ ↩
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html ↩