HEALTH WORDS / 用語解説
慢性前立腺炎
Chronic Prostatitis
慢性前立腺炎とは、前立腺およびその周辺組織に生じる炎症や不快感が長期にわたって持続する疾患である。1
本疾患は泌尿器科の外来を受診する患者の中でも比較的多く見られるものの、その病態や発症機序には不明な点が多く残されている。2
慢性前立腺炎は、細菌の感染が明確に関与しているケースだけでなく、感染を証明できないケースも多く含まれる点が特徴である。1
従来の分類では、急性細菌性前立腺炎、慢性細菌性前立腺炎、慢性骨盤痛症候群、および無症候性炎症性前立腺炎の4つのカテゴリーに大別されてきた。2
このうち、臨床的に最も頻度が高いのは慢性骨盤痛症候群であり、これはさらに炎症性(白血球の存在が確認されるもの)と非炎症性とに細分化される。2
症状としては、下腹部、会陰部、陰嚢、ペニスの先端などに鈍痛や違和感が生じることが多い。1
また、排尿痛、頻尿、尿意切迫感といった下部尿路症状を伴うことも少なくない。2
これらの症状は排尿時や射精時に強まることがあり、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる要因となる。1
原因や発症機序については、骨盤底筋群の緊張異常、尿の前立腺内逆流、精神的ストレス、神経因性疼痛など、多様な要因が複合的に絡み合っていると考えられている。2
診断にあたっては、まず尿路感染症や前立腺癌、膀胱炎など他の疾患を除外することが重要である。1
そのために、尿検査や前立腺液(あるいは前立腺按摩後の尿)の培養検査、超音波検査などが実施される。2
治療方針は病型や症状の性質によって異なるが、細菌の関与が疑われる慢性細菌性前立腺炎に対しては抗菌薬の長期投与が行われる。1
一方、細菌が検出されない慢性骨盤痛症候群に対しては、α1受容体拮抗薬(アルファ1受容体遮断薬)を用いた薬物療法が選択されることが多い。2
これは前立腺平滑筋の緊張を緩めることで排尿障害や疼痛を緩和する目的で使用される。1
その他にも、消炎鎮痛薬、植物製剤、漢方薬、筋弛緩薬などが症状に応じて適宜使用される。2
薬物療法に加えて、温水浴や生活習慣の改善、骨盤底筋のストレッチ、心理療法などが治療の一環として取り入れられることもある。1