HEALTH WORDS / 用語解説
前立腺癌
Prostate Cancer
前立腺癌とは、男性生殖器の一つである前立腺の組織から発生する悪性腫瘍(癌)であり、主に腺細胞から発生する腺癌が大部分を占める。国立がん研究センターによると、日本国内において前立腺癌の罹患数は増加傾向にあり、高齢の男性に多く見られる特徴がある1。
前立腺は膀胱の直下に位置し、尿道を取り囲むように存在する臓器であり、その主な働きは精液の一部である前立腺液を分泌することである。前立腺癌が発生すると、初期段階ではほとんど自覚症状がないことが多いが、腫瘍が大きくなるにつれて尿道が圧迫され、排尿障害などの下部尿路症状を引き起こす場合がある。
前立腺癌の検査や診断においては、血中の前立腺特異抗原(PSA)を測定する血液検査が広く用いられている。PSA値が高値を示す場合には、前立腺癌の存在が疑われ、より詳細な検査として超音波検査やMRI検査、さらに確定診断のための前立腺生検(組織診)が行われる。生検によって採取された組織は病理組織学的に検査され、癌の悪性度を示すグリソンスコアなどが算出される。
前立腺癌の進行度(病期・ステージ)の評価には、TNM分類などが用いられ、癌が前立腺の被膜にとどまっている局所癌から、近隣のリンパ節や骨などの遠隔臓器へ転移をきたした進行癌までさまざまである。特に前立腺癌は、骨転移をしやすい傾向があることが知られている。
前立腺癌の治療法は、患者の年齢、合併症、癌の悪性度や進行度、患者自身の希望などを総合的に考慮して選択される。主な治療法には、経過観察(積極的サーベイランス)、手術療法(前立腺全摘除術など)、放射線療法、およびホルモン療法(内分泌療法)や化学療法が含まれる。局所的な早期の癌に対しては根治を目的とした手術や放射線治療が行われる一方、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制するホルモン療法は進行性や転移性の前立腺癌に対しても高い有効性を示すことがある。国立がん研究センターが提供するがん情報サービスでは、前立腺癌の生存率や各種治療法に関する詳細な統計データおよび医療情報が公開されている2。