HEALTH WORDS / 用語解説
慢性扁桃炎
Chronic tonsillitis
慢性扁桃炎とは、口蓋扁桃における持続的な炎症が長期間にわたって反復・継続する疾患である。1
口蓋扁桃は咽頭の淋巴輪(ワルダイエル咽頭環)を構成する免疫組織の一つであり、外界からの病原体の侵入を防ぐ重要な役割を担っている。2
しかし、細菌やウイルスの反復的な感染や、扁桃実質内での病原体の長期停滞などを契機として、慢性炎症が引き起こされる。1
慢性扁桃炎の病態には、急性扁桃炎の繰り返しのほか、免疫学的な機序や口腔内の衛生状態、環境因子などが複雑に関与していると考えられている。3
臨床的には、長引く咽頭痛、咽頭異物感、口臭、微熱などの自覚症状が認められることが多く、しばしば急性増悪を繰り返す特徴を持つ。1
また、扁桃の陰窩と呼ばれるくぼみの中に、細菌の菌体や白血球の死骸、剥離上皮などが蓄積して栓子を形成することもある。2
慢性扁桃炎は局所の症状にとどまらず、病巣感染としての全身的な合併症を引き起こす可能性がある点において医学的に重要視されている。1
扁桃の慢性炎症が免疫反応を介して遠隔臓器に影響を及ぼし、IgA腎症、掌蹠膿疱症、関節炎などの二次疾患を誘発あるいは悪化させることが知られている。2
診断にあたっては、詳細な問診による臨床経過の聴取に加え、咽頭部の視診によって扁桃の腫大や発赤、陰窩からの膿汁の排出などを評価する。1
治療方針としては、軽度な症例や急性増悪時には抗菌薬の投与や含嗽薬を用いた保存的治療が行われる。1
一方で、病巣感染の原因となっている場合や、保存的治療では症状の改善が得られず日常生活に支障を来す場合には、口蓋扁桃摘出術をはじめとする外科的治療が選択されることがある。2
参考文献・出典
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会: https://www.jsibu.jp/citizen/entry-82.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yk-065.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/ ↩