HEALTH WORDS / 用語解説
放射線照射
Radiation Irradiation
放射線照射とは、物質や生体に放射線をあてて作用させるプロセスのことである。1
放射線照射は、医療、農業、工業など幅広い分野で利用されている。医療分野においては、悪性腫瘍(がん)の治療を目的とした放射線治療や、輸血用血液製剤の白血球による副作用(GVHDなど)を予防するための血液照射などに用いられる。2
放射線治療における放射線照射では、X線、ガンマ線、電子線、陽子線や重粒子線などの粒子線が使用される。これらは、癌細胞のDNAに直接的あるいは間接的に損傷を与え、細胞分裂を停止させることで腫瘍の増殖を抑える。近年の医療技術の進歩により、正常組織への被ばくを最小限に抑えつつ病巣に集中して放射線照射を行う強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療などの高精度な手法が広く普及している。3
生物学および医学の研究領域において、放射線照射は細胞生物学的な遺伝子変異の誘発や、免疫学的な実験モデルの作成などにも応用されている。たとえば、造血機能を破壊した実験動物を作製するために放射線照射が行われることがある。また、食品の殺菌や害虫の防除、医療用具の滅菌といった衛生管理の面でも、放射線照射技術は重要な役割を担っている。1
このように、放射線照射は治療、予防、科学技術の発展において不可欠な技術基盤の一つである一方、過度な被ばくは人体に対して有害な影響を及ぼすため、放射線防護の観点から厳重な線量管理と安全基準のもとで実施される。2