ホーム肺外転移

HEALTH WORDS / 用語解説

肺外転移

Extrapulmonary metastasis

肺は全身の血液が循環する構造上、多くの悪性腫瘍において転移が起こりやすい臓器の一つであるが、肺を通過した癌細胞や、肺内の病巣からさらに血流に乗った癌細胞が、脳、肝臓、骨、副腎などの遠隔臓器に到達して定着・増殖することがある。1

肺外転移の発生は、がんの病期分類や治療方針の決定において極めて重要な要素となる。多くの固形がんにおいて、肺外転移が認められる場合は遠隔転移(ステージIV)と診断されることが多く、手術による切除だけではなく、薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)や放射線治療を中心とした全身的および局所的な集学的治療が選択されるのが一般的である。2

肺外転移が好発する代表的な臓器としては骨が挙げられ、骨転移を生じた場合には疼痛や病的身折、脊髄圧迫などの骨関連事象(SRE)を引き起こすリスクが高まる。そのため、鎮痛薬による疼痛管理のほか、骨吸収抑制薬を用いた薬物療法や放射線照射が適宜行われる。3

また、脳転移が生じた場合には、頭蓋内圧亢進症状として頭痛、嘔気、嘔吐のほか、神経症状や意識障害、痙攣発作などを引き起こすことがある。脳転移に対する治療としては、ステロイド薬による脳浮腫の軽減に加え、定位放射線照射(ガンマナイフなど)や全脳照射、あるいは適応に応じて外科手術が検討される。4

肝臓や副腎への肺外転移もしばしば観察され、肝転移が広範に及ぶ場合には肝機能障害を併発することがある。肺外転移の存在は患者の生命予後や生活の質(QOL)に直接的な影響を与えるため、定期的な画像検査(CT検査、MRI検査、PET-CT検査など)を用いた早期発見と、個々の病態に応じた適切な支持療法および緩和ケアの併用が重要となる。5

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/at_glance.html ↩
  2. 日本肺癌学会: https://www.haigan.gr.jp/guideline/2022/1/2/220102000000.html ↩
  3. 日本肺癌学会: https://www.haigan.gr.jp/guideline/2022/3/7/220307010000.html ↩
  4. 日本肺癌学会: https://www.haigan.gr.jp/guideline/2022/3/6/220306010000.html ↩
  5. 国立がん研究センターがん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/diagnosis.html ↩