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HEALTH WORDS / 用語解説

持続感染

Persistent infection

持続感染とは、宿主の免疫機構や生体防御機構による排除を免れ、ウイルスなどの病原体が宿主細胞や個体内において長期間にわたって存在し続ける感染様式のことである。1

急性感染症のように短期間で治癒または宿主の死亡に至るのではなく、病原体が宿主の生体内で増殖を続けながらも、臨床的な症状を長期間にわたり示さない不顕性感染の形態をとることが多い。2

持続感染は、その病原体の増殖動態や宿主との関係性から、さらにいくつかの病態に分類される。1

代表的なものとして、ウイルスが持続的に産生され放出されるが細胞への障害性が低い「潜伏感染(または持続的感染)」や、臨床症状がほとんど現れずに病原体が長期間維持される「不顕性感染」、および病原体の遺伝子やゲノムが宿主細胞の染色体に組み込まれたりエピソームとして保持される状態がある。2

また、ウイルスが増殖を停止して感染性を示さない状態で宿主細胞内に潜み、特定の刺激や免疫力の低下を契機に再活性化して増殖を開始する潜伏感染もこれに含まれる。1

例えば、単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスは、初感染の後に神経節などの特定の細胞内で潜伏感染を維持し、ストレスや免疫低下を機に再活性化して皮膚症状などを引き起こすことが知られている。3

さらに、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスによる持続感染は、肝臓における慢性の炎症を継続させ、長期間を経て肝硬変や肝細胞癌などの深刻な疾患へと進展するリスクを高める要因となる。4

持続感染が成立するメカニズムとしては、病原体側が宿主の免疫応答をかく乱または回避する多彩な機能を持っていることが挙げられる。1

宿主の免疫系による中和抗体の産生や細胞傷害性T細胞の攻撃を逃れるために、ウイルス抗原の変異を繰り返したり、免疫系の認識を免れるような分子を産生したりする適応進化が関与している。2

また、免疫の働きが不十分な組織(免疫特権部位)に病原体が隠れることも、持続感染の維持を可能にする重要な要因となっている。1

このように、持続感染は病原体が宿主の生体内で生存し続けるための高度な戦略であり、医学および生物学の分野において疫学的対策や治療薬開発の重要な研究対象となっている。2

参考文献・出典

  1. NIID 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/encyclopedia/403-s-encyclopedia/1963-persistent-infection.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/nry/ja-jp/プロフェッショナル/感染症/ウイルス基本方針/ウイルスの感染と発症 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/nry/ja-jp/プロフェッショナル/感染症/ウイルスの概要/単純ヘルペスウイルス-hsv-感染症 ↩
  4. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kanenkensa/index.html ↩