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HEALTH WORDS / 用語解説

炎症性カスパーゼ

Inflammatory caspases

炎症性カスパーゼとは、宿主の自然免疫応答において炎症の誘導やサイトカインの成熟、さらには細胞死の一種であるピロトーシスの実行において中心的な役割を果たすシステインプロテアーゼの一群である。1

カスパーゼファミリーに属するタンパク質分解酵素であり、アポトーシスに関与するアポトーシス関連カスパーゼとは異なり、生体の生体防御機構や炎症反応の制御に特化している点が特徴である。1

トランスレーショナルリサーチや免疫学の分野において、ヒトやマウスなどの哺乳類における代表的な炎症性カスパーゼとしては、カスパーゼ-1、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、そしてマウスのオルソログであるカスパーゼ-11などが広く知られている。2

これらの酵素は、通常は細胞質内において不活性な前駆体として存在しているが、病原体由来の分子パターンや細胞内のストレスシグナルを感知することによって活性化される。1

活性化の主要なプラットフォームとして機能するのがインフラマソームと呼ばれる多量体タンパク質複合体であり、この複合体の形成を契機として炎症性カスパーゼの自己融解的な切断と活性化が誘導される。2

代表的な炎症性カスパーゼであるカスパーゼ-1は、不活性型として生成されているインターロイキン-1βの前駆体やインターロイキン-18の前駆体を特異的に切断し、生理活性を持つ成熟型へと変換することで、強力な炎症誘導シグナルを外部へと発信する。1

また、カスパーゼ-1およびヒトのカスパーゼ-4、カスパーゼ-5、あるいはマウスのカスパーゼ-11は、ガスダーミンDなどのエフェクター分子を切断することによって細胞膜に孔を穿ち、細胞質成分の漏出と炎症性細胞死であるピロトーシスを引き起こす。2

この一連の反応は、感染症に対する初期の生体防御において極めて重要な役割を果たしており、細菌やウイルスなどの侵入者を宿主の免疫系に排除させるための有効な生体反応として機能している。1

一方で、これらの炎症性カスパーゼが過剰に活性化されたり、慢性的な刺激を受け続けたりする場合には、制御不能な炎症反応を引き起こす原因となり、自己免疫疾患や動脈硬化、2型糖尿病、神経変性疾患などのさまざまな炎症性疾患の病態形成に関与することが示唆されている。2

そのため、医薬品開発の領域においては、過剰な炎症を抑えるための治療薬の標的分子として、炎症性カスパーゼやそれに関連するシグナル伝達経路を調節する化合物の研究が精力的に進められている。2

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002016335964177 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907038318855688 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5