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HEALTH WORDS / 用語解説

無菌性骨炎

Sterile osteitis

無菌性骨炎とは、細菌などの微生物の感染を伴わないにもかかわらず、骨組織に炎症や壊死、線維化、骨硬化などを生じる一連の疾患群の総称である。1

本症は単一の疾患ではなく、自己炎症性疾患や免疫異常、遺伝子変異などが背景にあると推測される多様な病態を含んでおり、臨床的には長管骨や顎骨、脊椎、鎖骨など全身の様々な骨に疼痛や腫脹を引き起こす。1

代表的な病態として、滑膜炎、座瘡、膿疱症、骨肥厚、骨炎を主要な症状とするSAPHO症候群や、小児から若年者に好発し抗菌薬が無効で無菌性の骨病変を繰り返す慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)が含まれる。1

また、顎領域においては、歯科治療や抜歯などを契機に発症するものや、明らかな誘因なく顎骨に炎症が持続する下顎骨辺縁性骨髄炎やびまん性硬化性骨髄炎なども、広義の無菌性骨炎あるいは慢性非細菌性骨髄炎として扱われることがある。2

病理組織学的には、好中球やリンパ球などの炎症性細胞の浸潤が認められるものの、通常の細菌培養検査では起因菌が検出されず、組織からの細菌検出も陰性であることが特徴である。1

近年の研究では、自然免疫系の異常によるサイトカインの過剰産生、特にインターロイキンなどの炎症伝達物質の関与が示唆されており、遺伝的要因や環境要因が複雑に絡み合って発症するものと考えられている。1

臨床症状としては、患部の持続的な自発痛や圧痛、熱感、腫脹がみられ、小児の場合は成長痛や悪性腫瘍、化膿性骨髄炎などとの鑑別診断が極めて重要となる。1

画像検査においては、単純X線検査で骨硬化像や骨融解像、骨膜反応が認められ、骨シンチグラフィやMRI検査を用いることで、炎症の広がりや多発性の病変を鋭敏に検出することが可能である。1

治療にあたっては、細菌感染ではないため通常の抗菌薬治療は無効であり、疼痛の軽減と炎症の制御を目的として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択として使用されることが多い。1

十分な効果が得られない難治性の症例に対しては、コルチコステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤(TNF阻害薬など)、あるいは骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤などが用いられることがあるが、長期予後や最適な治療プロトコルについては現在も臨床研究が進められている。1

参考文献・出典

  1. 難治性疾患克服研究事業 線維性骨異形成症/SAPHO症候群 調査研究班: https://minds.jcqhc.or.jp/common/pdf/index/pls0218.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 日本口腔外科学会: https://www.jsoms.or.jp/medical/disease/ago/ago_sonota/ ↩