HEALTH WORDS / 用語解説
胆管細胞
胆管細胞とは、肝臓内および肝臓外の胆管を裏打ちする上皮細胞のことであり、胆汁の分泌や修飾、水や電解質の輸送において重要な役割を担う細胞である。1 肝臓内において、胆管細胞は肝細胞と密接に連携しながら胆管系ネットワークを形成しており、肝臓全体の代謝や消化機能の維持に深く関与している。2
組織学的には、胆管細胞は単層の立方上皮あるいは円柱上皮として観察され、その形態や大きさは胆管の太さや解剖学的な局在部位によって多様性を示す特徴がある。3 これらの細胞は基底膜の上に整然と配列しており、隣接する細胞同士は細胞間結合によって強固に結ばれ、胆管腔内の胆汁が周囲の組織へ漏れ出さないようにバリア機能を果たしている。4
生理学的な機能として、胆管細胞は肝細胞から分泌された胆汁に対して水分や重炭酸塩(バイカルボナート)を積極的に分泌あるいは再吸収し、胆汁のpHや組成を調節する働きを持つ。5 この分泌および調節機能は、セクレチンなどの消化管ホルモンや神経学的・液性因子によって厳密に制御されており、食後の胆汁流出を円滑にする上で不可欠なプロセスとなっている。6
さらに、胆管細胞は単なる受動的な管腔の構造体ではなく、多様な受容体やトランスポーターを発現しており、免疫応答や炎症反応、さらには組織修復や再生の過程においても能動的なプレイヤーとして機能することが明らかにされている。7 例えば、肝臓が何らかの障害を受けた際には、胆管細胞は増殖して反応性胆管増生を示し、幹細胞的な性質を一部発揮しながら肝組織の修復を助けることが知られている。8
しかしながら、胆管細胞の増殖や分化、あるいはアポトーシスの異常は、様々な肝胆道系疾患の発症や進展に深く関与している。9 代表的な疾患としては、原発性胆汁性胆管炎や原発性硬化性胆管炎などの難病指定されている自己免疫性疾患があり、これらは胆管細胞に対する慢性的な免疫異常や炎症が引き金となって胆管の破壊や線維化を引き起こす。10 また、胆管細胞から発生する悪性腫瘍として胆管癌があり、これは予後不良な消化器癌の一つとして広く認知されており、その発がんメカニズムや分子標的薬の開発に向けた基礎研究および臨床研究が精力的に行われている。11
参考文献・出典
- 日本病理学会: https://www.pathology.or.jp/file/kiso04_02.pdf ↩
- 文部科学省: https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/0512132/002.htm ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000085304.pdf ↩
- 国立国会図書館: https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I023348633-00 ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/49/11/49_1070/_pdf ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/rough/29/3/29_169/_pdf ↩
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihonshikakagakkai/51/2/51_166/_pdf ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000499214.pdf ↩
- 国立がん研究センター: https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0615/index.html ↩
- 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/225 ↩
- 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/cancer/bile_duct/index.html ↩