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HEALTH WORDS / 用語解説

西部ウマ脳炎

Western Equine Encephalitis

西部ウマ脳炎とは、アルファウイルス属のトガウイルス科に分類される西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus: WEEV)によって引き起こされる人獣共通感染症(ズーノーシス)であり、馬およびヒトに脳炎を症状として引き起こす蚊媒介性のウイルス感染症である。1

本疾患は、1930年にアメリカ合衆国のカリフォルニア州で馬の脳炎の流行から初めてウイルスが分離されたことにより発見された。2

西部ウマ脳炎ウイルスの自然宿主は鳥類であり、感染した鳥類から媒介者である蚊(主にイエカ属のCulex tarsalisなど)を介して、馬やヒトなどの終宿主へと伝播する流行環を持っている。1

ヒトからヒトへの直接の感染は基本的には起こらないとされており、感染経路は主として蚊による刺咬である。2

臨床症状としては、感染者の多くが不顕性感染に終わるか、あるいは発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの軽度なインフルエンザ様疾患様の症状を示すに留まる。1

しかしながら、感染の一部は中枢神経系へ波及し、脳炎や髄膜炎といった重篤な神経症状を引き起こすことがある。2

重症化した場合には、意識障害、痙攣発作、錯乱、さらには昏睡状態に陥ることがあり、特に乳幼児や高齢者において致死率が高くなる傾向がある。1

また、中枢神経系の感染から回復した患者、とりわけ小児においては、神経学的後遺症として知能障害や運動障害、行動異常などが永続的に残ることが報告されている。2

診断にあたっては、臨床症状や流行地への渡航歴などを考慮しつつ、血液や脳脊髄液を用いた血清学的検査(中和試験やHI試験など)や遺伝子検査(PCR法)による病原体の特定が行われる。1

現在、ヒトに対する特異的な抗ウイルス薬は確立されておらず、治療は対症療法が主体となる。2

脱水に対する輸液や脳浮腫の管理、痙攣に対する抗けいれん薬の投与など、全身管理を中心とした支持療法が実施される。1

予防に関しては、蚊の刺咬を防ぐことが最も重要であり、防虫剤の使用、長袖・長ズボンの着用、蚊帳の利用などによる防蚊対策が推奨される。2

また、馬に対してはワクチンが開発されており、流行地における馬の予防接種が感染拡大の防止に寄与している。1

参考文献・出典

  1. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/34/401/de4011.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/dl/shishin_03.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6